道端で倒れていた天使を助けたらポイントを使ってなんでも願いが叶えられるアプリを貰ったんでこれを使って俺の理想の学園ラブコメを完成させてやる
ちょこふ
プロローグ
もし、人が道端に倒れていたらどうするか。普通なら声をかけたり、救急車を呼んだり助けるのが当たり前だ。
だがそれが 、頭に輪っかをつけ背中から羽が生えた不審者だったら助けるか助けないか……、僕は今その選択を迫られているのだ。
「大丈夫ですか?」
とはいえ、倒れている人を放っておくのも良心が痛む。僕はその不審者に声をかけた……。
「だ……大丈夫です……。ただ2、3日何も食べてないだけなので……」
それは、大丈夫なのか? バックから今日食べようと思っていたパンのひとつを出し、不審者に差し出した。
「お腹空いてるんだったら、これやるよ」
そうすると、不審者は体を起こし差し出されたパンを見た瞬間、一言。
「いただきます!」
不審者は、パンを取りパクパクと、ものすごい勢いで食べ始める。
よく見ると、人形のように整った顔、煌びやかな銀髪に、青く澄んだ瞳。世間一般的にも美少女として通じるレベルな容姿であった。
「美味しかったです。ありがとうございました。あなたは命の恩人です」
よそ見をしている内に手にあったパンは消え、美少女はお辞儀をする。
「命の恩人なんて、大袈裟な。ところで君の名前はなんていうの?」
美少女は少し考えた後、ポンっと手を叩いた。
「私は特に名前とかないので、好きな呼び方で結構ですよ」
名前が無いって、マジもんの不審者だったのか。
「うーんじゃあ、エロい体でエロ……ゲフンゲフン、エルイでいいか?」
危ない、普通に初対面の人にセクハラするところだった。美少女は、驚いた表情をした後笑顔をみせる。
「良いですね! 私はこれからエルイと名乗る事にしましょう」
エルイは嬉しさを表現しているようにピョンピョンと跳ねた。
「じゃあ、俺は行くよ。ちゃんとご飯を食べるんだぞ」
そう言い残し、僕は立ち去ろうとするがエルイに袖を引っ張られる。
「ちょっと待ってください。私の命の恩人なんですから、お礼させてください」
そう言いながらエルイはバックからスマホを取り出し、ポチポチと触り始める。
「もう行っていいか?」
「ああ、ちょっと待ってください」
歩き出そうとした瞬間、僕の前に一つのアプリを見せてくる。
「ポイタメ……?」
ふふんと、エルイは少し自慢するよに腰に手を当てる。
「そうです、ポイタメです。このアプリはですね、良い行いをするとポイントが溜まります。そのポイントを使って、あなたの願いを叶えることが出来る、画期的なアプリなんです!」
「はぁ……」
なんて、胡散臭い話なんだ。まだ、何処ぞのカルト宗教の方がまだ信ぴょう性あるぞ。
「そうか、それは凄いな! じゃあ僕はこれで……」
さりげなく去ろうとしたが、思いっきり引っ張ってきた。
「待ってくださいよぉぉぉ! 逃げないで下さいぃぃぃ!」
「ヤダよ、そろそろ行かないと学校遅刻するし!」
結局僕は力負けして、まだ話を聞くはめになってしまった。
「今から実践しますので、見ててください! 今何か欲しいものとかありますか?」
「うーん、やっぱいくらあっても困らないエロほ……ゲフンゲフンお金かな」
そう言うと、エルイは再びスマホをポチポチと触り始め、お金という場所から10万を選択した。すると、空から僕の頭の上に札束が落ちてきた。
「これが、そのアプリで叶えてくれた願いってことか?」
「はいそうです。どうですか? このアプリの凄さを少しは信じてくれましたか?」
この不審者のいうことを信じるのはなんか癪に障るが、まあアプリがすごいってのは分かった。
「まあ、信じるよ。それでそのポイントってのはどうやって溜まるんだ?」
「それは、入れてから教えてあげます」
エルイはそういって、僕のスマホが何処にあるのか分かっているかのように、僕のポケットからスマホを取り出した。
「おい、勝手にとるな。返せよ」
エルイは話を聞かず、ポチポチとスマホを弄る。
「はい、終わりました。どうぞ」
渡されたスマホの中には、ポイタメと書かれたアプリが入っていた。僕はそのアプリを開いてみた、すると100000ポイントとでかでかと表示されていた。
「エルイ、なんで最初から100000ポイントもあるんだ?」
「私の命を救ったじゃないですか! そのポイントです」
なるほど人命救助もポイントに加算されるのか。
ちなみに、アプリには現在保有ポイント以外に還元・デイリーミッション・通常ミッション・イベントという文字が表示されている。
「この4つはなんなんだ?」
「還元は、ポイントを使い願い事を叶えるものです。その願い事によってポイントの消費量は変わります。デイリーミッションは1日3つ表示され、それをやると普通よりも多くポイントが貰えます。通常ミッションは、どんな事をするとポイントが増えるのかが分かります。最後にイベントというのは、一定期間いくつかのミッションの貰えるポイントが上がります」
とりあえず、このミッションっていうのをクリアしてけばいいってことか。
「あと1つこのアプリには、ルールがあります。そのルールというのは、来月から月に1回絶対にクリアしなければいけないモンスミッションというが現れます。それは絶対にクリアしなければいけません」
「もし、クリア出来なかったら?」
「その時にならない分かりません。ただ、クリア出来ないと何かやばい事が起きるという事は分かっています」
よく分からんが、モンスミッションは絶対にクリアすればいいってことだな。
その時、僕はふとスマホの時間を見た。8時28分。学校が始まるのが8時30分、ここから学校までかかる時間はおよそ10分。
「やばい、エルイとこんなことしてたせいで、もう時間ないよ! どうしてくれるのさぁ」
「こういう時に、そのアプリを使うんですよ」
エルイはそう言いながら、僕のスマホを指さした。
「そうか、えっとえっとあったこれか!」
僕は還元から瞬間移動(1000)と書かれたボタンを押した次の瞬間、僕は教室の自分の席にいた。
「いつから居たのかな? トイレでも行ってたんですか?」
いきなり現れたのに驚いたのか担任の先生はそうやって、僕を茶化すように聞いてきた。
「何言ってるんですか、先生僕はずっと居ましたよ」
そう言いながら机の下で、ポイントを使い、皆が最初から僕がここにいたと認識させる(500)。
「そうだったんですね。わたしとした事が薄くて気づけませんでした」
「もう、やめてくださいよ。先生」
僕はこの時確信した。このアプリは本物だ、これを使えば俺の理想の学園ラブコメの夢を実現出来ると!
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