短編44話  数ある近くて頼りがいがあって

帝王Tsuyamasama

短編44話  数ある近くて頼りがいがあって

「はい、できあがりっ。もー、ボタン付けは家庭の授業で習ったでしょー?」

「さーんきゅ! 紗由花さゆかがやってくれた方がしっかり付くだろ?」

「調子いいんだからー」



「こっちが……パンジー!」

「ぶぶー、ビオラでーす」

「なんでやー!!」



「ねぇ、そこ火炎属性反射の敵いるんじゃなかったっけ?」

「げっ! やべぇ!」



「あーかわいいぃ~! あぁーこっちもかーわーいーいぃ~!」

「……そうか?」

「あーっ、雪松ゆきまつにはこのかわいさがわかんないのー? 相当人生損してるね、うんうん」

「…………そうか?」



「うわっ! 6ゾロ6ダブレット!!」

「へへーん、この勝負もいただきぃー」



「雪松っ、さっきの戦い、かっこよかったよ!」

「さんきゅ。先輩が作った流れをつぶさずに済んでよかったぜ」

「はいお茶ー」

「さんきゅんぐんぐっ」

「こっち梅、そっち昆布、で、これ紗由花スペシャル」

「どうスペシャルなんだ?」

「まぁまぁ食べてみてっ」

「いただきまーもぐもぐ。お! やべぇこれうめぇ! ごま油?」

「へへっ、他にもいろいろ。次の戦いも頑張ってねっ」

「おうよ!」



「めんどくせーなー」

「まぁまぁそう言わずにー」

「紗由花はめんどっちくねーのかー?」

「それはぁめんどくちゃいけど……でも、雪松と一緒なら、私頑張れるしっ」

「はぁ。やるっきゃないか」

「うんうん。終わったら一緒にラムネ飲もうねっ」

「……やるかっ!!」



「いっせーのーでー3! やった!」

「いっせーのーでー1! くっ……」

「いっせーのーでー0! やーりぃ!」

「ぬおーっ」



「けほっ。ありがと」

「どういたましてー」

「それを言うならどういたしましてー、って病人にツッコまさせないでよけほっ」

「それでもツッコんでくれる紗由花様さすが超パネェ半端ないっス」

「ふふ。雪松と一緒にいるには、元気がないとだめだね」

「ならば俺様の力を分け与えるまでよ。こぉーーーっ」

「あは。雪松にうつっちゃったらどうするの?」

「もっかい紗由花にうつすか」

「ひどっ」



「来年も一緒に花火観てくれるー?」

「あん? 紗由花がいいんならな」

「私はっ、もちろん……へへっ」

「ほれ」

「へ? あ、ありがと。んむ~おいしぃ~」

「りんごあめってコスパコストパフォーマンスいいよなー」

「うんうん」



「おら紗由花ぁー!」

「はいっ!」

「いっけぇ紗由花ぁーーー!!」



「なんで全部混ぜたらこんなへんてこな色になるんだろな」

「なんでだろねー。図書室図書閲覧室にでも行くー?」



「おぉーーーっしゃあああーーー!!」

「やったね雪松! やったぁやったぁ!!」

「やっぱ俺らのクラスが最強だぜぇー!!」



「こっちが……バイオリン!」

「ぶぶー、ヴィオラでーす」

「だからなんでなんだよぉー!」



「支えとけよー」

「おっけー」

「ちょちょいのーーー……ちょいっと!」

「ありがと!」

「どういたましてっ」

「それを言うなら~」



「いっぱい積もったねー! よーし……ていっ!」

「ぐは! こんにゃろ!」

「きゃ! つめた~い!」

自販機ベンディングマシーン?」

「え?」



「いやーおこたはいいですなぁー」

「せやなー、あ、すまん」

「えい」

「ちょ! このっ」

「きゃっ、ちょっと強くない!?」

「正当防衛!」

「もーこのこのっ!」

「うおらあいでっ」

「ちょっ、ココアこぼさないでよー?」

「せ、正当防衛!!」

「過剰防衛ですーっ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る