グーリン、ア、ライブオア、デッドブルーー

暇の三

第1話グリーン、オア、ライブ、オアデッド

ーどうして、私たち「普通」に生まれなかったんだろうね

閉じ込められた部屋の中で、自らの死期を悟った少女が悲しく笑う

そして、その目が、体が溶けていく「ねぇ、、、、、、」

最後の言葉は、いや、想いは言葉にならなかったけれど

ただー言葉を向けられた人間はその意味をちゃんと分かっていた

「お父様」

聡明なことで、有名な「日本呪術協会」の大天才、向島日照日照むこうじまひでりを父に持つ


彼女は、今、外国の屋敷から父に話しかけている

ーー実の父ですら、甘えは不要

そこには、徹底的な英才教育と帝王学で生まれた秀才が残るのみ

向島静香むこうじましずかは、そのぼんやりしていても、なんとなく凄みかかっているというか、冷たく見える目で実の父、、、いや、、、育ての父を見下ろす

気分は、冷戦のそれであるーーそうこれは戦い

父と子といえども虎は虎、いずれ縄張り争いで戦う者同士である

「ふむ、、、静香、君は生きたいというのだね」


向島日照という人間を一言で表すのなら「実用的」か「現実的」かのどちらかだろう

冷徹、氷を通り越して「鋼鉄」とまで呼ばれるその人間性は、義理の娘に対してもかかわらない

ちなみに、静香は太陽星座、射手座の月星座水瓶座であり、日照は太陽星座、牡羊

月星座、水瓶座だったりするのだが

「いいだろう、ただし失敗したら、わかってるね」

「------はい」

静香は、今までの人生で、学校以外で外に出たことはおろか、家の中においてさえ

自室からあまり出たことはない、食事は召使のものが、扉の前に置くし、トイレはついてる、バスルームも完備という、、、引きこもり的な生活をしてきた


ーーそれも、これも「トップ」をとるため、ただ、それだけのために今までの人生を「犠牲」にしてきたといっても過言ではないだろう


その彼女が、外に出るこれは珍しいことだった

実はーー静香の父は、昔実験仲間とやらかしたことがあった

その不祥事はもみけしたが、ただ、今のところといった感じだ

ーーだから、消す、、、そして恩を売る、売れるとも思ってないがまあだめもとである

ーーついでに、もう一つの理由が「今から向かうその場所が」彼女にとって知っている場所だったからだ


飛車倫ひしゃりんは、少しだらけきってもいた

ーーどう見ても、20代前半の彼には、似合いそうもない「諦観」が顔に出ていた

倫は、そもそもが田舎に来ること自体初めてである

噂には聞いていたが、田舎というのは人の数より車の数の方が多いのだなと実感した

無人駅で降りると、夜だからとうのもあってか廃墟感が増す

ーーいや、廃墟だよ、これ

コンクリート製のところが、夜の闇の中にあって白く浮き出ていて怖い

ーーまだ、何も始まっていないのに、こんなところで怖がってどうするのか

そう自分に問いかける

「飛車倫さん、ですねお待ちしておりました」

20代くらいの、傘をもった男の人が先導する

「、、、ゴーストタウン」

「ハハっ、ここはこんなもんですよ、むしろ飛車倫さんのいる、東京のほうが我々からすると「異常」といいますか、別世界に見えますがね

ーー「満員電車」なんて通勤の時さえこなかったらないし、そもそも「通勤」してきてる人全員が乗ってもてすりには余裕がありますし」

「、、、うらやましい」


そこは、純粋にうらやましい

「--さぁ、どうぞ「主人」がお待ちです」

それは、立派な西洋風のお屋敷だった、いや、言葉を言いなおそう

立派な西洋風に見えるが、それは見た目だけであって中は和風であった


「ーただいま、帰りました」

さっきから気になっていることがある

ーーそれは、この屋敷の庭園は、なぜにジャングルみたいに植物が多いのかということである

ーーだが、まぁよく見れば全部同じ植物だったので、栽培してるんだろうと思うことにした

「--さぁ、お席へどうぞ」


足の着いた、「台」が回ってくるよく、戦国時代のドラマで見るやつだ


そこにいたのは、(日本呪術協会のあの「天才」の娘、氷の人形アイスドール向島静香)


人の夢に入り、「特定」の情報をさぐったりする、精神感応系の使い手「悪夢」

馬瀬堂恋歌《ばせどうれんか》


ーー女傑二人に冷や汗がたらり

「、、、あとはみなさん、遅れてくるそうですよ」

ーー夕飯自体は、里芋のにっころがし、きんぴら、コメの飯というもので

まぁ、なんというか食えなくもない

(う、うめぇ、そういや、俺腹減ってんだよな)

お膳を配膳していた人が声を上げる


「こんにちは、みなさん私はー伊津之目瑞樹いづのめみずきと申します

ーーどうぞ、ごゆるりとなさってくださいませ」

「--御託はいい」

(で、でたぁーー氷の人形~頼むから場をかきみださないでくれよ)

「私は、私の役目を果たすだけ、私の足を引っ張るようならーー切り捨てる」

底冷えする目だ

(ほ、本気の目だ、やつは人を切り捨てることをどうともおもっちやいねぇ

そんな目だやっぱりこええーー)

「あ、そうだ、伊津之目さん、さっきから気になってるんでですが、「あの山」はいったい何ですか?」


ーーこの屋敷の横にある山はいったい何だろうか

「それは、行ってはいけない山ですーーそのやまには「怪物」がでます」

曰く、1500歳を超えた化け物とか

曰く、狼たちを従えた狼たちのボスであるとか

曰く、超人的な腕力に脚力だとか

「--あの山は「怪物」の縄張りなんです、断りもなくー入れないんですよ」



にっこり笑うこの人は、男か女かよくわからない人だ

ーー女にしてはくびれがないし、体ごつい気もするから「男」か


「15年前のことです、この地域で、「人が失踪」するという事件が発生しました

ーー内容は、みなさん「ご存じだと思いますが、、、人が「水」のような液体になって死ぬということです

気を付けてくださいねーー安全なのはいまのうちかもしれませんよ?」

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