吾忘れの淵/深恵 遊子

作品名:吾忘れの淵

作者名:深恵 遊子

性癖:洗脳ならやっぱりカルトだよね!!!!!

作品URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054894759845


 カルト教団での暮らしとカルトならではの儀式の描写から始まり、女の子を洗脳するかと思いきや主人公が自分を取り戻して逃げ出すお話。

 カルトの説明のまま調きょ…罪の衣を剥がす苦行が始まるのかと思ったんですが、瀬波瑠乃従弟は優しいですね。その優しさが歌波百乃従妹の心を解いたのでグッドエンドに行けたのでしょう。個人的には歌波百乃従妹へ苦行を行う姿も見たかった気持ちがありますが、それはそれこれはこれ。

 そして本文の中で一番気になった文章は 

『——だから、ね』

 という優しさしかない善意の洗脳されまくった自分の意志ではない植え付けられた感情による行動の描写の所です。これはとても性癖力が高いですね。なるほど、これが『性癖:洗脳ならやっぱりカルトだよね!!!!!』ですか。

 洗脳とはその人自身の今までの人生を蔑ろにして違う価値観で塗り潰す行為ではないかと自分は思っています。人権とか思い出とかそんなこんなの色々を全部塗りつぶしてしまうって感じの。

 そうやって人一人を思い通りにしてしまう行為はとても興奮しますよね。良く分かります。しかも本人の本質の優しさはそのまま。素晴らしい。

 でも、そこからモモナの助けがあったとはいえ自力で洗脳を解いたのも物凄く性癖力を感じました。

 人が洗脳される事と、人が洗脳を解く事。

 人の弱さと、人の強さ。

 片方の描写だけでなく両方の描写があるのがこの作品の性癖ポイントだと思います。良い性癖小説でした。

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