地味な幼馴染が好きな俺はバイト先の黒髪美少女に恋愛相談しているが、なぜか彼女はいつも頰が赤い。なお、2人は同姓同名。

午前の緑茶

第1話 決意

「よ、達也。今年も幼馴染の凛ちゃんと同じクラスじゃん、やったな」


 高校2年の1学期初日、俺は友人に声をかけられた。


「まあね」


「ほんとお前ら運命だろ。確か幼稚園から今までずっと一緒のクラスなんだよな?早く付き合えよ」


 俺の友人は呆れ半分、からかい半分といった感じで言ってくる。


「馬鹿言うな。まだほとんど話したこともないっていうのに、付き合うも何もないよ」


 そう、確かにずっと一緒にいるが、話したことは数回程度しかないので幼馴染と呼べるかは怪しいところだ。


「あー、お前はヘタレだもんな。凛ちゃん、いい子そうではあるけど地味で真面目な感じだし、話しかけづらいよな」


「そうなんだよ、話しかけようにも俺、こんな感じでクラスによくいるようなモブキャラだし、女の子と気軽に話すスキルとかねえから、結局何も進展がないままなんだよ」


 俺は柳瀬凛のことが好きだ。最初の頃はよく一緒のクラスにいる奴、という程度の認識だったけど、その認識がだんだん特別なものに変わっていつのまにか気になる存在になり、今では好きな人となってしまった。


「好きな子取られるかもしれないぞ?はあ、きっとお前は自信がないんだな、せっかくの新学期で知り合いも少ないんだ。その黒縁メガネ外してコンタクトにして、美容室行って髪も切ってこいよ。イメチェンすれば何か変わるかもよ?」


「そうかな?分かった、やってみるよ」


 友人にそう言われた俺は、さっそく美容院に行き、髪を切ってもらってきた。ついでにワックスやスプレーも買い、眼科で、コンタクトももらってくる。

 いざ、家で美容院に習った通りに髪をセットして、コンタクトにすれば、今までよりは幾分かまともな姿の俺がいた。


 おお、髪型でこんなに変わるんだ!!

 想像以上に変わった姿に感動すら覚える。だが同時にここまで変わると、学校にこの姿で行くことが恥ずかしくなってきた。


 クラスの奴らに、あいつ気合い入れてるな、とか言われて笑われたらどうしよう……。

 そんな不安に駆り立てられた俺は、まずは今までの俺を知らない所でこの姿で過ごすことにした。

 そこで笑われるようなことがなければ自信もついて、話しかけに行けるだろうと。


 そんなこんなで俺はヘアセットした姿でバイトを始めた。

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