61 終わりの時 

絶対壁が開き、世界へと広がっていく深闇。

ケルは変貌をした。


(なんてことだ・・)

そこから少し離れた、岩の後ろに、カムイが居た。手に重症のレベッカが抱かれている。吹雪は止んでいる。

闇の力に、雲も全て消されたようだ。


ギリギリ魔法陣に間に合ったカムイ。

そしてここへ、ケルと一緒に付いてきた。

しかし、どうにもできない状況。


(ダメだ・・動きが)

怪我を、闇によって負ったため、更に影響が大きい。


(レベッカ・・)

傷を見る。賢者の石がギリギリ守っていて、

まだ間に合うはず。あきらめるわけにはいかない。


(アリシャ・・)

カムイは心配している。

これだけの事が起こっている状態。

いつもアリシャはこんな時、救ってくれた。

でも今は居ない。何かあったのか・・?。

カムイには嫌な予感がしている。


ケルは感じていた、アリシャの力が無くなったのを。


――空を飛んでケルの前へと、やって来る、End66。

無数の脚に、抱かれているアリシャ。


「・・ク・・」

ケルはそれを見て満足気に笑む。

傷だらけで、脚に突き刺され、首の上まで、

黒い血管が侵食し覆っている。


「ア・・アリシャッ!!」

カムイは崖から身を乗り出して見る。


( ?! )

End66はそれに気付いて振り向く。見つかるカムイ。


(・・!!)

しかし、それでも構わなかった。


「カ・・」

ケルは笑いながら見る。

さっき魔法陣に間に合ったのか。

しかし今更どうでも良かった。どうせカムイも死ぬ。


 ケルは動き始める、絶対壁イージスの完全なる消失をさせ、完全な闇を求めて。

 隙間からの闇だけではなく、絶対壁イージスを完全に取り払い、

世界を闇で、1つにしようとする。


End66はカムイの前へと進む、アリシャを、腹に抱いたまま。


その間に、ケルは開いた絶対壁イージスの隙間に、あらゆる触手を入れて

広げていく。それとともに闇が更に噴き出して、大きくなっていく。


(うわああ!!)

カムイは叫ぶ。闇のエネルギーによって、

大の字になって、岩へと押されている。

なんとか、立っている理由はアリシャの顔が見えるから。


それだけ。

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