31 凍線

「ホワイト、あなた、間違ってるわ!」

レベッカは厳しく言う。

子供達を、ポルゾイに売ったなんて。


「・・私が、間違っていました」

と言い、ホワイトは、レベッカに近付く。

そして、両手を向ける。


「お嬢様」

目が怪しく光る。


「えっ?」

胸に冷たさを感じる。


「あなたも、父と一緒に、殺しておくべきでした」

とホワイトは言うと。


(キ――――ン)

音とともに、レベッカは後ろに飛ばされる。

氷の魔法。輝く冷気と共に、手から勢いよく出る氷。

レベッカの身体を包み、そして一気に押す。


「?!」

その衝撃で窓を(ガシャーン!)と壊して、

外へと飛び出す。ここは8階。落下すれば、終わり。

――でも、本来、空中のはずだったけど、

レベッカの髪飾りが光る。


そして(ズサァー!!)

と、直ぐに、土の地面に転がる。

(ガサガサ!)と、草むらに更に突っ込む。


「っ・・!?」

痛がるレベッカ。胸の部分には、氷が張り付いている。

ホワイトが、氷の攻撃魔法を放ったのは

間違いない。まともに心臓に命中した。

でも、まだ無事。しかも、8階だったはずなのに、今は何処かの室内。

 

「もう、最近痛いのばっかり・・!」

と、腕を押さえながら言う。

その時、レベッカの髪飾りの、赤い宝石が、光っている。

それは身体の氷を溶かしている。

どうやら魔法の威力を、中和している。

レベッカは、その現象に気付いていない。


部屋を見渡すと、


「えっ?!」

驚くレベッカ。見覚えがある。

懐かしい。ここは、9階の私の部屋。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る