3章 女の子は あきらめない

19 煌めく湖の城

 ここは、煌めく湖の城。

大賑わいで、一晩中続いたパーティーは、

2000人が全力で楽しみ、歌い踊った。

 

 夜が明けて、陽が昇り、湖に反射する中。

国民達は、昨夜の騒ぎとは打って変わって、静まり返っている。

 城の中や、木々の下など、それぞれが

思い思いの場所で、祭りの後の余韻に浸っている。

 一人一人が、心から楽しんだことで、

戦争での心の傷も、良くなってきている、ことを、

人々の顔を眺めながら、

アリシャは感じていた。

 

 「皆すごく楽しんでたね」

と隣を歩く、カムイは言う。

 城から少し離れた、森の中の草原、

様々な木々が生い茂り、その中に、

歩くのには丁度いい道がある。

 アリシャとカムイは、2人で散歩中。


「ほんと、良かった」

アリシャは笑顔で、城を見ながら言う。

 

風が吹く、優しく心地いい風。


「皆、アリシャのお陰だよ」

カムイはアリシャを見つめながら言う。


「そんな、皆さんが強いんです」

と、謙遜する。

(国民をゆっくり休ませるため)と、散歩に

カムイが誘った。しかし本当は他にも理由があった。


その時、再び風が吹く。


「・・・」

アリシャは目を瞑って、風を受けている。


「アリシャ」

と呼ぶカムイ。


「・・はい」

と目を開けて答える。


「君に、話したいことがあるんだ」

と言うカムイ。2人は見つめ合う。


―――しかし、アリシャの感じた風は、

何やら、良くない前兆を教えてくれていた。


今、ここに、来るべきではない者達が迫っていた。

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