4 信じる場所

「僕の父、エクシズ王は(ポルゾイを王に)と言ったらしいんだ」


城内の、国王室は厳重に守られ、限られた者しか入れない。

 そこへ、城から遥か離れた、牢獄に居たはずの、

殺人犯ポルゾイが、行けた方法は何なのか?


「どうやって?」

アリシャは気になって聞く。


「・・僕にも解らないんだ」

悔しそうに言うカムイ。


「僕は、城下町の人達を助ける時、父上の、訃報を聞いたんだ」

急いで城に戻ろうとすると、仲間の市民が、

(カムイ様!直ぐ逃げて!)と言って、逃がされた。


「何があったんですか?」

アリシャは、不思議そうに聞く。


「父上は遺言で、更に〈カムイを殺せ〉と、言ったって・・」

それを、ポルゾイをはじめ、父の周りに居た、側近や近衛兵が、

何人もそう言い。カムイは攻撃された。


「ポルゾイが言うのは、ウソだと思うんだ」


「でも、なんで、側近や近衛兵までが、

 戦争を仕掛けてきたのかが、解らないんだ・・」

何年も国に仕えてきた側近、近衛兵たちが、カムイを裏切った。


(もしかして、父は本気でポルゾイに王位を譲った?)

そう考えると、カムイにとっては、相当辛いものだった。


「カムイ様」

悲しそうに、言うカムイを見て、アリシャも同情している様子。


「もしや父上は、僕を選ばなかった?・・」

カムイは悲しそうに言う。


「そんな・・」

アリシャは衝撃を受けている。


「そのあと直ぐに、僕は、反乱軍として、

ポルゾイに攻撃されて、滅ぼされる直前まで行った」

 

その後はアリシャに助けられた。


――――――――――


食事は済み。


 外の生命光ひかりを受けながら、アリシャは1人バルコニーに居る。

カムイは、戦いの疲れで、ぐっすりと眠っている。


(カムイ様)

アリシャは、さっきの話に、衝撃を受けて、心を動かされていた。


表情には、決意めいたものを感じる。


(行かなくちゃ)

アリシャは、魔法を唱え始める。

 

目的地は、アバランテ城。ポルゾイに、直接会うために。

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