3 カムイの過去

辺りは夜。本当なら、暗くなっているはず。


 しかし、アリシャが使った生命回帰リザバーで、

戦争の犠牲者を、復活させる魔法の光が、

イルミネーションのように、一面を照らしている。


「綺麗だね」

カムイは城のバルコニーで、アリシャと食事を、ししている。

さっきと違って、食欲が湧いてきた。


「皆とまた会えるなんて・・。良かった」

と、カムイが言う。


「皆は、僕を最後まで信じてくれた」

と形を成していく、人影を見ながら言う。

カムイを最後まで守り、一緒に戦ってくれた人達。


「ありがとう。アリシャ」


「気にしないで。カムイ様」

笑顔で言うアリシャ。


「僕は父上が、ポルゾイに、王位をった。なんて信じられない」

前国王エクシズは、カムイの父。

 

「譲った?んですか?」

なぜ、実の息子のカムイに、王位を譲らなかったのか?

血の繋がりも一切無く、王家に何の関係もない、ポルゾイ。しかも


「ポルゾイは殺人罪で、牢獄に、入れられてたんだ」


「え?なぜ、そんな人に王位を?」

殺人犯に王位を譲る事なんて、ありえない。


「父上は、遺言で〔次期国王はポルゾイに〕と言ったらしいんだ」

カムイは悔しそうに言う。


「そんな・・」


「父上は、1ヶ月前、謎の病に倒れたんだ。

僕はずっと傍に居たんだけど、ある時誰かが、

城下町を襲ったんだ。・・僕は行くべきか迷った」

カムイは窓から、外を眺める。


「父上は(気にするな、人々を助けるんだ)

と言ってくれたよ」


「・・それが最後」

そう言うと、視線を戻す。


「そんなことが」

アリシャは同情している。


「・・そして、父上の最期に立ち会ったのが、なんだ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る