象の歌
フクロウナギ
001
この現象は巷ではファフロツキーズと呼ばれていたはずだ。
たしか、アメリカに蛙が降ってきたとか何とか……
目玉焼きを口に入れた直後、朝食の皿の背後、爆発音
壁を震わせ、脳を揺らす轟音
部屋にきーんとした残響が残るなか、私は音のした方へ向かった。とりあえず玄関で靴を履き、庭に出る。昨日の雨で湿った空気が鼻に入る。さっきの轟音にふさわしい痕跡は見当たらない、いつも通りの庭が見えた。
ただ昨日はなかったものが一つあった。卵が落ちている。何の変哲も無い白い丸い卵、たったいま焼いた卵よりは少し大きい。それに傷一つ付いていないことを不思議に思いながら、私は卵を持ち上げた。
いきなり、卵が割れた。中にはひよこがいた。
私がひよこと目を合わせる前に、それは空を飛び始めた。
なるほど、空からやってきたのなら空も飛べると言ったところだろうか。変に納得して、私はひよこを捕まえた。この不思議な鳥のひなを外に放してはいけない気がした。それ以上に、何の因果かこの家にやってきた一つの生命を私は飼いたくなった。
私は、その羽毛を手で優しく包みながら空飛ぶひよこに相応しいかごを探した。
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