灰の魔女 ～アオイ日だまりへ～

生きる意味

　最初はバスの事故だった。死にかけた私は火の魔女によって命を救われた。その意図は分からないけど生きている。

　次は犬ゾンビに追い詰められて、学校の屋上から落ちた。

　ミカに助けられて生きている。

　３回目は牛男にお腹を突き刺され死にかけた。舞が助けてくれた。

　その後、ミカと舞の治療でやっぱり生きている。

　じゃあ今は？　このまま死ぬの？　助けを待つ？

　………ちょっと待って、そもそも何で私戦ってるの？

　何か悪いことした？

　何が原因？

　魔女の魂が混ざってるから？

　魂が混ざったのはバスに乗ったから、だから？

　バスの運転手がちゃんと運転してれば……でもあれは会社のせい？

　運転手も被害者？

　いや、そもそもバスに乗らなければ……お母さんが行こうって計画しなければ……お父さんの仕事の休みが取れなければ……

　何処で選択を誤ったの？

　生きたい……何で？……生きて何するの？　理由？

　生きる理由そんなのあるの？

　そもそも必要？

　選択を誤る？

　じゃあバスに乗らなかったら死ななかったの？

　右と左の道が有って、右が天国で左が地獄とかあるの？

　左が地獄として次の分かれ道は超天国かもしれないじゃん！！

　戦う理由？　世界平和だとか、天使の陰謀を阻止するとかなきゃダメ？

　私は生きたい！　その先何があるか分からないけど生きる！！

　だって誰もそんなの分からないんだから！！

　後悔なく死にたい？　そんなのある訳無いじゃん！！

　毎日後悔だらけだ！

　季節限定のパフェ食べときゃ良かったとかテレビ見逃したとか下らない事から、進学ミスったとか失言で友達失ったり、後悔のオンパレードだ！！

　もう良い！　後悔しまくって死んでやる！

　死ぬ間際に「あれ」しとけば良かった「これ」で良かったんだろか？　って後悔しながら死ぬんだ！

　でもそのなかにちょっとでも幸せな思いがあれば良い。

　今はミカ達と一緒にいたい！

　なら精一杯やってやる！！　どうせ結果なんて分からないんだから！！

「イグニス、お願いがあるの。聞いて」

（なんでしょう？　ご主人さま）

「ひとまず３つに分かれて地面で爆発、距離をとりたいの」

（はい！）

　迫るニサの足元目掛け３つに別れたイグニスは地面で爆発。

　ニサはウンディを振り周囲を凍らせ防ぐ。

「イグニス来て！」

　私の手元にイグニスを呼び叫ぶ！

「イグニス、温度上げて！　私を焼くから！」

　私は火力を増したイグニスを手に持ち、太ももの傷を焼く。

　ジュッ！！　バチッ、バチッ！

　太ももから煙が出て肉が焼ける嫌な臭いがする。

「ぐッ！」

（ご主人さま大丈夫？　ごめんなさい）

「良いの、こうしないと血が止まらないんだから」

　ジュッ！！

「うっ！」

　続いてまだ血が止まっていない胸の辺りを焼き私はニサを見ながら不適に笑う。

「さーーて、どういう結果になるかな。行くよ、ニサ！！」

　私はニサに向かって駆け出す。