魔物の戦い方
「なんですの貴女は!」
お嬢様は舞に捕まれてた槍を強引に引っ張り、後ろに下がる。
「あんた天使だろ? じゃあ、あたしと戦わないとな」
「貴女、魔物ですの?」
「魔女と魔物が手を組んでるなんて聞いてませんわ。でも、まとめて消すだけですわね!」
お嬢様は槍を再び構え、舞の足元目掛けて突く。それを後ろに下がって避けた舞は自分の右手を首の後ろに伸ばし髪の毛を掴む。
「いつも通り鎌でいく」
髪を掴んだ周辺から髪先に向けて青っぽい魔方陣が這うように通ると髪が肩先から抜け、形を変える。
長かった髪が肩までの長さになった舞の手に握られているのは真っ黒で、脈打っている大きな鎌。
舞は前に跳躍するとその大きさを感じさせない動きで鎌を連続で振り下ろす。
お嬢様もその動きについてきているが体格差があるのか少し押されている。
そのうち カーーーン! という音と共に槍が中を舞う。
だがお嬢様は驚く素振りも見せず
『ウンディ』
魔方陣から青い本体に龍の装飾がされている槍を取り出す。
その槍の穂先が濡れているのか、水が滴り落ちている。その槍を下から上に振り上げ
『セレネ』
呟やくお嬢様。
その攻撃を難なく交わす舞だが、振り上げた穂から飛んだ大きな滴が三日月の形になってクルクル回りながら落ちてくる。
「!?」
予想外の攻撃を鎌で振り払う。お嬢様は振り上げた槍を空中へ投げると槍は縦にクルクル回りながら上昇する。
『ピオッジャ』
その言葉にクルクル回る槍から滴る水が針の雨のように舞に降り注ぐ。
『グラーツイア』
今までより一回り長い槍を取り出し、針の雨を振り払う為に隙の出来た舞の左手に突き刺す。
『ワニの牙』
そう呟いた舞の左手は手のひらから肘の辺りまで、真ん中からパックリ裂け、中に牙が生えていてる。
見ようによってはワニの口に見える。
その口で槍の穂を噛んで離さない。
お嬢様は噛まれた槍を手放し空中に投げていたウンディを掴み、舞の顔目掛けて突く
『おおかみの牙』
そう言った舞はその槍を歯が鋭くなった口で噛んで首を横に振り払いお嬢様を吹き飛ばす。
お嬢様は槍からすぐに手をはなし体制を整えながら
『モルビド』
しなる槍を出し舞の右側へと振る。
『骨の刃』
次は右腕の手首から肘にかけて鋭く尖った白い骨? が鮫の背ビレのように飛び出て槍を受け止める。
そこまで攻防をして2人は一度距離を取る。
「みんな一旦戻って」
お嬢様が呼び掛けると槍の下にそれぞれ魔方陣が浮き出、槍は吸い込まれてく。
「これだから魔物はやりにくくて嫌いですわ」
そう言いながらお嬢様はスプレンディドと呼んだ槍を手にしたままスカートの両端を摘まんで優雅に挨拶をする。
「わたくしの名前は ニサ ニーベルング 魔物さん貴方のお名前はあります?」
「名前? ああ、黒田 舞だ」
「黒田 舞? 人間みたいな名前ですの。
まあ良いですわ、名前持ちならその強さも頷けますわね。では、舞! いきますわ!」
物凄い勢いで突進からの突き!
「もうちょっと本気出さないとな」
舞はそう言うと
『赤眼』『狼』『鷹』『熊』『猫』
と呟く
頭、背中、腕、足にそれぞれ青の魔方陣が這う。
目は赤くなり、頭には狼の耳、背中に鷹の羽、腕は少し太くなり爪が長く尖くなる。足は足首からしたが猫科の足になっている。
一瞬でその状態になるとニサの槍を鎌で受け流し先程より激しい攻防が始まる。
私は2人の戦いを遠目に見ていた訳だが、ミカが舞の召喚を止める理由が分かった気がする。
狼の耳とか可愛いけど、腕が割れてグパーはないわー。歯生えて糸引いてたし。
助けてもらいながらも失礼なことを思う葵だった。
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