11話
チュンチュン、チチチという鳥の鳴き声で目が覚め碧䒾は、身体を伸ばしながら大きな欠伸をした。
「ふわあぁぁぁ・・・おはよう」
この場所に聞き慣れた鳥の鳴き声に僕は耳を疑った。
だって、雀の鳴き声だよ?
異世界転生して日本とは離れたのに知ってる鳴き声っておかしくない??
「この世界に雀なんているわけないよね・・・」
『居るチュン』
へ???
どこからか厨二病的な声が聞こえたんだけど・・・気のせいだよね・・・?
『誰が厨二病だチュン!』
「・・・・・・」
恐る恐る枝に視線を向ける僕の目に映ったのは、紛れもなく雀で、しかも話す鳥。
僕、こっちの世界に来て可笑しくなっちゃったんだね・・・
うん、よし。もう一回寝よう。
『現実から目を逸らしても何も変わらないチュン!』
小さな翼で顔をパサパサと叩いてくる雀に狸寝入りなど出来るはずもなく仕方なく起きた。
「それで、なんで雀がいるの?」
『この森に住まう鳥たちは、他国の集まりチュン。知ってるのも、そのせいチュン』
「・・・鳥人種とかじゃないよね?それとも人間の肉か何か食べて話せるようになったとか・・・?」
『大樹様に話せるようにしてもらったのを何て恐ろしいことを言うんだチュン!! 』
「大樹様って誰??」
『知らないで寝ていたのかチュン!? 』
「寝ていた?人一倍大きくて立派な樹だなとは思ってたけど・・・」
『ありえないチュン』
なんだろう、この呆れたような空気・・・
僕、何かしちゃったんだろうか。
とりあえず、気にしないで旅に出る準備しよう。
まぁ、準備するような物も無いんだけどね。
あ、そうだ!
少し登って上を目指して、ちょうどいい枝に綺麗なリボンを結び付けよう!
結び終えると満足した碧䒾は、大樹にお礼を告げた。
「うん、可愛いね。一泊のお礼です。ありがとうございました」
いつか、この森に来ることがあったら名前付けたいなぁ。
誰からも見捨てられた森だけど、僕には癒される空間だから大事にしたい。
死にたい気持ちは消えないけど、この森だけは特別だから・・・
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