1話

 いろいろと諦めた僕は、大量服用した睡眠薬と度数の高いアルコールを一緒に飲み深い眠りについた。


 誰かの声がする・・・

 薬の効果がないのかな・・・?

 僕を呼ぶのはだれ?

 どうでもいいけど、静かに安らかに眠らせて。



「起きなさい。あなたが辛いのはわかりましたから、とりあえず起きなさい」



 んぅ~・・・?うるさい・・・

 静かに寝かせてくれたっていいじゃん。

 もう誰にも邪魔されたくない・・・



「あなたが生きていた世界では、既に亡くなっています。ですから、私の声が聞こえるあなたに転生をしていただきたいのです」



 やっと死ねたんだぁ・・・よかった・・・

 じゃ、もう誰にも壊されなくて済むんだね。

 おやすみなさい・・・



「おやすみなさいではありません!さっさと起きなさい!!」



 強烈な痛みが額に走った。



「いったあああ~っ!」



 涙目になって額を押えた僕に、神様は微笑みながら話を続けた。



「やっと起きましたね。現世では辛い人生を送ったあなたに、私共からサプライズです。」


「サプライズ・・・ですか?」


「はい。私が管理している世界ユグドリアに、あなたを転生させたいと思うのですが如何でしょうか?」


「えっ?転生って、あの転生・・・?」


「はい。あなたが思い描いている転生です。勿論、魔法も使える世界ですよ」



 魔法・・・。ってことは、モンスターを倒してレベル上げたり薬草採取したりってことも出来るのかな?



「はい、出来ますよ」


「えっ!?口にしてないのに聞こえるの???」


「私の存在は、あなたの世界でいう神ですから。思っていることは口にしなくとも読み取れるんです」


「そうなんだ・・・。僕は転生しても死にたい気持ちは消せないと思います・・・。それでも、いいですか?」



 不安げに見つめて伝えれば、目の前の神様はにこやかに微笑み「ええ、構いませんよ」と答えてくれた。



「それなら、僕の記憶は残したまま容姿と声の変更。あと、神様が管理している世界の言語と知識・・・薬草学と花かなぁ・・・?」


「わかりました。その希望通りに致しましょう」


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