第1話 魔術学園都市行き列車

「!」

 目を開けると、先程の光景はどこにもなかった。

「ここは……」

 どこだ? 俺は確か最後の戦いに――



「おはようダン」



 耳元で囁かれる聞き慣れた甘い声。

 そして最後の敵であったはずの存在から感じるはずのない安心感が、俺を5年前の夢から現実に引き戻した。

「おはよう」

 そうだ。ここは、あの地獄ではない。

 ここは、魔術学園都市行きの列車。その三号車。

 そして俺の膝の上に座り、俺に微笑んでいるのは――

「アト……」

 最強にして最悪。

 存在自体が天災とされている『黙示録の魔女』

 ベアトリーチェ・アーリー。

 俺の宿敵にして、師匠でもある女だ。

「まだ眠そうね。でもしゃんとしなさいな。これから楽しいのだから」

 相変わらず魔女の声は蜂蜜のように甘く、蠱惑的だ。意図的に無視しようとしても、頭の中に直接染み込んでくるように、俺の意識に入り込んできて、ほとんど強制的に、俺に残っていた眠気を取り除いていく。

「……もう起きてる」

「あらあら。寝坊助のダンにしては、珍しく寝起きがいいわね。いい夢でも見れたかしら?」

「逆だ」

 よりにもよって今日という新しい生活の始まりに、この『魔女』との出会いを夢に見たのだ。

 悪夢以外の何者でもない。

 というか――だ。

「お前、わざと見せたな」

「あら、なんのことかしら?」

 白々しい。この魔女なら、寝ている相手に自分の好きな夢を見せるなんて造作もないことだ。

(しかしよりにもよってあの時の夢とはな……)

 見せた本人は愉快そうだが、見せられた方としては、あまりにも皮肉がききすぎて、笑えない。

「本当に性格悪いよなお前」

 まあ、魔女相手に今更な話ではあるが。

「あらあら。でもダンも悪いのよ? 私を無視して一人で眠ってしまうのだから」

拗ねるように唇を尖らせてそう言うアト。こいつの事を何も知らないのであれば、その仕草は可憐な見た目と相まってとても可愛らしいのだが、生憎魔女の本性を嫌というほど知っている俺からすれば、自分の歳を考えろロリババアとしか思えない。

「無茶を言うな。睡眠が必要ないお前とは違って、俺はちゃんと身体は人間だからな。眠いんだよ」

 現に今も身体はだるいし、頭の回転も本調子じゃない。

 完全な寝不足だ。

「夜更かししたダンの自業自得だわ」

「……俺が夜更かしする原因を作った張本人が随分な言い草だな」

「あら、それなら拒めばよかったでしょう?」

 ……よく言う。

「拒めばどうしたよ?」

「交渉してたわ。物理的に」

「結局拒否権ねえじゃねえか」

 指先一つで大の男を吹き飛ばされるゴリラ女の物理なんて強制以外の何物でもない。

「少しは我慢ってやつを覚えろ」

「無理よ」

 こいつ、真顔で即答しやがった。

「あなたが目の前にいるのよ? 我慢なんて出来るわけないし、する気もないわ」

「そうかい」

 相変わらずうちの魔女様は欲望に忠実でいらっしゃる。

「そんなに不機嫌にならないで。早く起きれたご褒美にキスしてあげるから、機嫌を直しなさいな」

 ……本当に欲望に忠実だな。

(まあ、嬉しくないわけではない)

 身内の贔屓目なしに、アトは間違いなく美少女の部類に入る。

 俺も男だ。こういった行為は嫌いではないと胸を張って言える。

(だが――)

 いかんせん中身が残念すぎる。

 俺の膝の上に乗り、微笑む幼く美しい少女。

 長く艶やかな髪は何者にも染まることのない漆黒。

 死を連想させる赤い瞳は、俺を――俺だけを見つめている。

 この世のものとは思えない幽玄の魅力。それがこの少女――いや、魔女にはある。

 5年の月日を共にしたというのに、一向に慣れない。気を抜くと、頭の芯が蕩けさせられ、何も考えられなくなってしまう。

「さあ、目を閉じて――」

 これだけ近ければ尚更だ。思考など捨てて、魔女の誘惑に溺れてしまいたいという欲求が沸き上がってくる。

 ……しかしである。

「……断る。俺はお前のように、心臓に剛毛が生えているわけではないからな。繊細なんだよ」

 この程度の誘惑に屈する俺ではない。

 加えてそういった行動を他人に見せつけるような趣味もない。

 何がご褒美だ。自分がしたいだけだろう。

 そう自らの中で結論づけ、魔女を睨み付けてやる。

「あら失礼ね。いくら私でも心臓に毛なんて生えてないわ。知っているでしょう?」

 だが魔女も諦めない。俺の片手を手に取ると、アトは自らの左胸――心臓の部分に誘導した。

「何度も触れてくれたものね?」

 当てられた胸。相変わらずの貧乳越しに感じる鼓動を、俺は確かに知っている。

「貫いたり、握り潰したり、噛み砕いたり、色々な方法で無茶苦茶にしてくれたじゃない」

 比喩ではない。文字通り・・・・だ。

 俺はこいつの心臓を潰してやった。

 俺がこいつの宿敵兼弟子になったあの日から何度も。

「……どれも効果はなかったがな」

 だが死なない。

 俺の目の前にいる少女の姿をした魔女は、心臓を潰された程度・・では死なないのだ。

「なんなら今からする?」

 まるで情事を誘う娼婦のように俺を誘惑してくる。

 それにそそられないと言えば嘘になるが――

「……場所を考えろ。場所を」

 今その誘いに答えるつもりはない。

 列車の中こんなところで俺とこの魔女がやり合えば、想像を絶する被害が起こるのは、容易に想像出来る。

 それはごめんだ。面倒にも程がある。

やる・・なら、人気のない所だ」

「あらあら、随分大胆なお誘いだこと。そんなに私を独占したいのかしら?」

「そうだと言ったら?」

「ときめくわ」

 嬉しそうに微笑む魔女に、ため息が出る。

 何が嬉しいのやら。本当にこの魔女は何を考えているのかがわからない。

 気を紛らわせるために、窓の外の景色に目を向ける。

 荒れ果てた荒野が広がっていた。

 生命の源でもあり、魔術を発動する為に必要となる魔力マナ

 それが枯渇した場所は、このような不毛の大地と化す。

 この世界では珍しくない光景だ。

 魔術社会と呼ばれている現代、世界中のあらゆる場所、あらゆる用途で魔力は消費され続けている。

 人々が日々の生活で使用している電気だって、魔術発電所で魔力を使用する事によって賄っている。

 どこかの学者が、『現代は魔術と科学のハイブリット時代。希望を生み出す時代なのだ』

 なんて言ったそうだが、それが気休めに過ぎないのは誰の目から見ても明らかであった。

 だからこの荒れ果てた大地を見ても、大抵の人間は『またか』と思うだけで終わる。

 俺も普段ならそう思っていただろう。

 しかし――

「もうここまで魔力枯渇が進んでいるんだな」

 五年前は豊かな自然があった事を知っている俺としては、この光景には少し思う所がある。

「ここだけじゃないわ」

 いつもは八割方ふざけているアトも、この手の話題には真剣な表情を見せる。

「年々、大気中の魔力は減少していっている。ここ五年は特にね」

 またとある学者は世界的な環境問題となっているこの『魔力枯渇化』も『黙示録の魔女』の企みだと言ったそうだが――

「……」

 俺はそうは思わない。

 憂いが籠った目で荒れ果てた荒野を見据えるアトが、この現象を引き起こしているとは。

 となると、やはり問題なのは俺達現代人にあるのだろう。

 俺も再び外の荒野に視線を向ける。

 水すら存在しないはずなのに、どうしてかその大地が泣いているように見えた。

「まるで世界が悲鳴をあげているみたいだな」

 だから柄にもない事を言ってしまう。

 特に考えたわけではなく、無意識に呟いた言葉だった。

「……ダン」

 だが、アトは驚いたような顔で俺に視線を移していた。

「なんだ?」

 突然無言で見つめられると、流石に俺も驚くのだが。

「……いいえ。なんでもないわ」

「嘘だろう」

 何か言いたそうな顔だったぞ。

「いいえ本当になんでもないわ。私の宿敵兼弟子は相変わらず物事の本質が見えているようで嬉しかっただけよ」

「なんだそれ」

 訳が分からん。

 まあ、今に始まったことではないか。

 この魔女が秘密主義な所はいつもの事だ。

 変に気にする事でもな――

「あの、すいません」



 唐突に声が聞こえた。

 顔を向けると、そこには少女がいた。

 純真の塊のような印象を受ける少女である。

 長い翡翠色の髪をツインテールに纏めた少女の容姿は整っており、小柄の見た目と合わさって、見る者の庇護欲をか掻き立てる。

 そんな少女を見た俺は――

(……まずいな)

 顔には出さないが、狼狽していた。

 普段ならいい。俺も男だ。一人でいる時にこんな可愛らしい少女に話しかけられたら、少なからずの高揚を覚えるだろう。

 だが今は駄目だ。

「……」

 何故ならば、俺の膝の上には史上最悪の爆弾女が座っているからだ。

 アトは俺との会話を邪魔されるのを嫌う。ひどく嫌う。

 会話に割って入った相手が気に入らなければ、『ばらして』しまおうとするほどだ。

 実際にあったのだから、間違いない。

(……どうする?)

 あの時は、人気のない所で、雑談していた俺達に道を尋ねに来た妙齢の女性だったから、良かった。

 アトが危害を加える前に、大人しくさせる事が出来たからだ。

 だがここは駄目だ。

 列車という動く密室の中で、しかも人目もある。



「すいません。空いている席に座ってもよろしいですか?」



 ……最悪だ。

 ただでさえ、話しかけられるという時点で不機嫌確定なのに、アトにそんな事を頼んでは、魔女は問答無用で少女を八つ裂きに――

「別にいいよー」

「……なに?」

 今、何と言った?

 別にいいだと?

 なんか見た目が気にくわないという理由で歴史的文化遺産のアーカム山を地図上から物理的に抹消したあの魔女がか?

「んー? どうしたのお兄ちゃん・・・・・? ベアの顔をじっと見つめて? なにかついてる?」

「……」

 どうかしたのはお前だ。なんだその喋り方は。

 後、いつからお前は俺の妹になった。

 お前は歳下どころか、俺よりもはるかに歳上だろうが。

 具体的に言うと、四桁超えの――

「……落ち着きなさいな。ダン」

 耳元で俺にしか聞こえない小声で囁くいつも通りの口調のアトに、俺は我に帰る。

「そういう『設定』でしょう? 合わせなさいな」

「……」

 ああ、そうだったな。

(俺達は魔術学園都市では兄妹という事になるんだったな)

 アトからの慣れない呼称に違和感を覚えながらも、俺は何とか頷く。

 本当に違和感しかないが、慣れるしかない。これから人目がある時は、いつもこの呼び方になるのだから。

「ありがとうございます。本当に助かりました!」

「いえいえー。困った時はお互い様だよー」

 ニコニコと見るものが思わず頬を緩ませるような、天使の微笑みを浮かべるアト。

 だが中身が悪魔すらも膝まずかせる魔女だと知っている俺としては、何も言えなくなる。

「お二人は新入生ですか?」

「いや……」

 確かに時期的には、新入生で間違ってない。事実、この列車に乗っている人間の殆どが、魔術学園都市で 明日の入学式で一年生になる者達ばかりだ。

 だが俺達は違う。

「編入生だ」

「え、そうなんですか!? 私もそうなんですよ!」

「む……」

 どこか不安そうだった少女の顔がパッと輝く。

 まるで見知らない場所でようやく知人を見つけたような喜びぶりだ。

(……面倒な事になりそうだな)

 適当に話をして、会話を必要最低限のものにしようと思っていたのだが、

「私、ヒスイって言います! 綾瀬 ヒスイです! 16歳です! 明日実戦科の高等部の2年Bクラスに編入するんです!」

 長引きそうだな……これは。

 しかし、寄りにもよって2年Bクラスか。

 ……2年のBクラスなのか。

「お二人はどこに編入されるんですか?」

「……2年C――」

「ベア達も2年Bクラスに編入するんだよ!」

「……」

 魔女が。なに馬鹿正直に答えるな。

 話に食いついてきたら、余計に長引くだろうが。

「わあ! すごい偶然ですね!!」

 俺は諦めと同時に悟った。これは完全に長引くと。

「えと、でもベアさん? 失礼ですが、私よりも歳下に見えるのですが、おいくつですか?」

「うん! ベアは8歳だから、お姉ちゃんより歳下だよ!」

 ……すごいな。四代の歳のサバ読みが出切るのもこの世界で間違いなくこの魔女ぐらいだろうな。

「え!? じゃあ、8歳で高等部の2年生に編入するってことですか!?」

「……別に珍しいものでもないだろう」

 この世界では年齢=実力ではない。

 素質や実力があるものは、飛び級が推奨されるぐらいだ。

 というか、今驚いている綾瀬だって、1つ飛び級してる。

「お前と同じだ。地方の魔術学校に通っていたんだが、査問委員会に見出だされて、この魔術学院に強制編入させられたんだよ」

 という設定・・だが、これもまたよくある話なのだ。

 力のあるものはその責務を果たす責任がある。

 それが今の魔術社会のルール。

 どこの学校にいても必ず月に一度行われる魔術適正試験で好成績を納めたものは、魔術の最先端授業を受けることのできる魔術学園都市に半ば強制的に編入させられる。

「でも8歳で高等部2年は凄いですよ!」

「まあ……天才であるのは間違いないな」

 そう。だがそれでもあり得ない程の飛び級なのである。

 だから俺は反対だったのだ。いくらなんでも無理があると。それなのに、アトの奴ときたら――

『ダンと同じクラスに入れないなら、魔術学園都市が地図から消えることになるわよ?』

 などと言って、魔術学園都市のトップ達を脅しやがった。

 その為、苦肉の策として魔術学園都市が用意したのが、今回の天才少女とその兄という設定だった。

「兄貴としては鼻が高いやら劣等感やらで複雑だがな」

 それとなく兄という事を強調する。

「あ、やっぱりお二人は兄妹なんですね?」

「ああ」

 設定上はな。

「俺はダンテ・アーリー。この天才だがどこか抜けている妹の兄だ」

「私はベアト! ベアト・アーリーだよ! お兄ちゃんの妹!!」

 という設定だ。

「ど、どうも! 私は綾瀬 ヒスイです!!」

「それはさっきも聞いた」

「あ、そ、そうでした!」

 こいつは本当にどこか抜けてるな。

(まあ、どうでもいいいがな)

 クラスメイトとはいえ、所詮は他人。

 あまり親しくなる事もないだろう。

「あはは! お姉ちゃん面白ーい!」

 だから今問題なのは、アトの奴が妙に上機嫌な事だ。

(こいつが上機嫌な時は大抵ロクな事が起こらない)

 これもまた経験から学んだ教訓。



 そして、その教訓が間違いではない事を、俺は次の瞬間に思い知らされるのであった。



「!?」

 ズキリと、胸に激痛が走る。

 この心臓に走る痛みには嫌と言うほどに覚えがあった。

 俺は膝の上にいるアトを反射的に見る。

「くふふ」

 だが魔女は、愉快そうに笑みを浮かべているものの、何らかの魔術を行使した様子はない。

 俺は窓の外を見、そして目を疑った。

 外の景色に衝撃的かものがあったわけではない。

 むしろ逆だ。

 何の変哲もない事が問題であった。

「止まってる……だと?」

 外の景色が動いていない・・・・・・

 列車が『停止』していたのだ。

 急ブレーキなどで急停止をしたわけではなく、自然に停まっていたのだ。

「それだけじゃないわダン」

 いつも通りの口調で話すアトが指差すのは、俺達と談笑していたヒスイだ。

「……こいつもか」

 しかし、そのヒスイもまた停まっていた。

 いや、ヒスイだけではない。

 見れば、周りの俺達以外の乗客達も停まっていた。

 これではまるで――

「列車ごと俺達以外の時間が停まってしまったのか?」

「ええ。おそらくね」

 だとすれば、これは間違いなく魔術によるものだ。

 だがただの魔術ではない。

 特殊にして特異。

 どの系統魔術にも属さないこの魔術は――



「個有魔術か」



 魔術使の中でも一部の者にしか発現しない特別な力。

 それが今、この列車に対して発動されている。

「……仕方ない」

 今回は珍しく、平和だと思っていたのだがな――

 残念ながら、いつも通りのようだ。

「あら、どこに行こうというのかしらダン?」

「言う必要があるか?」

 こういう場合、俺がどんな行動をとるのか分かっているはずだ。

「というか、そうしてもらいたいんだろう?お前は」

 アトが仕向けたわけではない事は分かっている。

 魔女は外道ではあるが、下衆ではない。

 自分に立ち塞がる者には一切の容赦はしないが、関係のない人間を嬉々として巻き込むことはしない。

 魔女はこうなることが分かっていたのだろう。

 未来を直感として感じとる。そういう能力もこいつにはあった。だからこそ、機嫌が良かったのだろう。

 俺に実戦の『課題』を与えられるから。

「ええ。でも選ぶのはあなたよ」

 分かっている。アトは俺に強制はしない。最後の選択は必ず俺自身に選ばせる。

「乗客全員を人質に取った何者か。このまま放置すれば、大変なことをしでかしそうね」

 だろうな。ここまでの事をやっておいて、何もせずに終わりなんて事は有り得ない。

「でも相手は強い。この列車を止める程の強力な個有魔術を持った相手よ。無能なあなたなら苦戦は間違いないでしょうね」

「……分かってる」

 これもまた事実。魔術使として俺は三流だ。

 使える魔術もたった2つしかない底辺の中の底辺。

 それはこの魔女の弟子になってからも変わらない。

「逃げてもいいのよ? 誰も責めないわ。ここの乗客はあなたにとってまだ関わりのない人間達。そんな存在に命を賭けれなくても仕方がないわ」

 ああ、確かにな。

 こいつらは俺にとってまだ他人だ。

 だがな、



「見くびるなよ魔女」



 それはあくまで普通・・の理屈だ。

そんな存在に・・・・・・命を賭けれない奴がお前に勝てるわけがないだろう」

 こんな所で逃げるような奴に、魔女と戦う資格はない。

「くふ」

 正解だと言わんばかりに、魔女は顔を歪ませ――

「くふふふふふふふふ!!!!」

 歓喜の笑みと共に笑いだした。

「そうね! そうこなくてはね!それでこそ、私の宿敵兼弟子よ!!」

 アトは両手を広げる。

 ああ、これはいつものことだ。

 俺のお師匠様は師としての課題を出す時、いつもこうやって両手を広げる。

「師として命令オーダーするわ。魔術学園都市に入学前最後の課題よ」

 ならばこれから下される命令は、いつものスパルタなのだろう。

 相も変わらず唐突に無茶ぶりをかましてくるふざけた師匠だが、



「列車を占領した無粋な者達を殲滅しなさい。逆襲者リベンジャー



「了解だ。師匠マイマスター



 上等だ。やってやるとも。




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