転生したら最強種になっていたので、言ってみたいこと・やってみたいことをしてみました

夜月 雪

第零章…「プロローグ」

僕はごく一般の、なんの取り柄なんてない凡人の、影の薄い高校生で、アニメや漫画が大好きなオタクだった。

別にいじめにあっていたわけではなかったが、その日の気分で学校を休み外を私服で散歩していた。

その日はとても晴れていて、散歩にはうってつけで、公園では子供たちがわいわいと遊んでいた。

ブランコをする子や、滑り台を滑っていたり順番待ちをしている子、砂遊びで泥団子を作っている子。そんな楽しそうな空間に一瞬で壊れるそんな空間が今まさに僕の目の前で起きていた。

サッカーをしていた子の一人が道路に飛び出したサッカーボールを拾いに飛び出していたのだ。だけどそれだけならまだ良かったのだが、その子の後ろから車が迫っていた。運転手は別の事に焦っているようで、子供がいる事にまだ気づいていない様子だった。そんな状況を確認し終わった頃に、我が子の危機に気づいた母親が悲鳴を上げたのだ。

母親が気づいた頃には車もすぐそこだった。


「くそ!」


そう呟いたときには、僕は肩にかけていた鞄を放り出し走り出していた。

僕がいたのは、左側。子供と車がぶつかりかけているのは右側。ちょうど、左側には車は走っていなかった。

僕が子供のいる場所についた頃、避けることは不可能だった。だけどそれは僕だけの話で、子供には悪いが突き飛ばさせてもらうことにした。「ごめんね」と小さく呟いた僕と状況を読み込めないでいた子供、涙を流しながら立ちすくむしかできなかった母親。

一瞬の時間。まばたきをするくらいの時間。だけど、その瞬間だけはゆっくりに見えた____


 ガシャン!!


強い衝撃と共にやって来たのは救いの手ではなく、死んだことを告げる死神の手だった。

僕は当たり前のようにその手を取ると、プツリと何かが切れた音が聞こえた気がした。



次に目を開けたのは、宇宙のような風景が広がる部屋の中だった。

その部屋の中心にはポツンと誰かが立っていた。

その子はどこか悲しげにそして嬉しげに口元を緩ませて微笑んだ。

僕はその微笑みに見惚れるが、首を横に振り、状況を知っていそうなので訪ねることにする。


「あな……たは?」


「ん?私ですか?私はシアナです」


ふわふわとした雰囲気。

ゆるゆるとした自己紹介。

そんな感じをどこかで感じた気がしたが、気のせいだろうか?

そんなもやと戦いながら僕も自己紹介をっと思ったのだが、まぁ知っていそうだったのでしないでおく。

そんな僕に対して、シアナと名乗った少女は僕に聞こえない声で何かを呟いていた。


「………また、死んでしまったのですね」


「ん?何か言ったか?」


「いえ、気にしないでください!……どうしますか?転生とかできるのですが」


口元に人差し指を当てながら首を傾げるシアナ。

え、てか、めっちゃ可愛いんだけど…何?この子、わざとやっているのかな?抱き締めたいくらいに可愛いんだけど………

………ごほん。とにかく、転生と言う言葉を聞いたからにはオタクである僕が選ぶ道は1つだと頷いて納得する。

少し待たせてしまったシアナに声をかける。


「じゃあ転生をお願いしようかな」


「わかりました、ですが…転生で得る体や能力は完全なシャッフルせいなのです、すみません」


(え、何それ、くじみたいに面白いんだけど)


「構いませんよ、お願いします」


僕がそう言うと、シアナは「そうですか?」などとぶつぶつ言いながら転生で必要なのか何かの魔法陣を描いていくのを僕は、多分輝いたすごい目で見ていたことだろう。

シアナにバレないように凝視する。もしシアナがこちらを見れば、パッと素早く別の方を見る。

そんなことを繰り返していると準備が整ったらしく、シアナが優しく微笑みながら声をかけてきた。それは突然だったため、微かに声が裏返って返事をしてしまった…恥ずかしい。


「ささ、こちらの魔法陣へ」


「わ、わかった」


シアナに案内された魔法陣の中心に立ってからふと隠された何かが開いたかのように僕は違和感を覚えた。

僕と彼女、シアナは初めて会ったはずなのにのだ。

僕がその事を訪ねようとすると、シアナは今から転生をする世界について説明を始めてしまう。


「あなたが転生する世界は異世界。

一応は人間と魔物が平和に暮らす世界に転生します。その世界には、このように魔法が使えますので、もしかしたらあなたも魔法を使えるかもしれませんね。あ、これも伝えないといけませんね」


「?」


「その世界には最強種と呼ばれる名の通りとりあえず最強の種族がいます。もし、その種族に転生したら人間にバレてはなりませんよ?捕まって売られてしまいますので注意してください。それか、もし遭遇した場合は焦らずに、攻撃などをしていけませんのでそこも注意が必要です。………それでは、転生させますね」


すらすらとした説明に僕はとりあえず頭の中に殴り書きのよう叩き込んだ後、転生させようとするシアナに平然を装うように訪ねる。


「ねぇ、もしかしてだけど……僕と君はどこかで会っているの?」


「…………さぁ、どうでしょうか」


少しの間を開けた後にシアナそう返してきた。その時の表情も少し困った表情をしていた。

そんなことをしている間に僕の視界は真っ白になり、意識も再びプツリと切れるのであった。

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