賛美歌が歌えない

桜枝 巧

言い訳と空腹

線路上の小石を見てる見てるだけ地球が爆発したら、困るな


蝉しぐれ 横断歩道の黒だけを踏んでも沈むことの無い足


掃き溜めを指差しているこどもたち 昨日はスズメの死体があった


ひとつだって欠落のない街灯をインスタントな幸福とする


うたえない、うたえないって僕が言う もう食べられない砂糖菓子たち


否定文だけでつくった歌ってさ、案外売れるんじゃないかって


生きるための練習をしたワイシャツが洗濯カゴでぐたり寝ている


空腹とWordを開く夜の底で楽な呼吸を求めたくない


さよならがあれば歌えた十九の春に戻ればなんて 遠雷

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