葉月 涼

失ったもの

一つ一つの音が出る

1音1音に心を込める

一言一言の言霊を

1字1字にのせて

喉から溢れる音に身を委ね

聞こえるリズムに鼓動を合わせ

踊る音に身体を沿わせ

跳ねるリズムに心を揺らす

そうして生まれた1曲は

電波に乗って届くだろう

恋に焦がれたあの子の元へ

恋に破れたあの子の元へ

救いを求めた誰かの元へ









だけど

誰かが聴いてくれるのは奇跡で

曲を愛してくれるのは極僅か

声を愛してくれるのも極僅か


それで意味がわかるだろう

歌っても届かない

祈っても叶わない

あなたのために頑張っても

結局あなたは救われない


下手だ下手だと揶揄されて

悩んで苦しんで歌っても

その苦悩ですら馬鹿にされ


もがけばもがくほど私が泥沼に沈んでいく


昔、楽しんで歌えた私とかけ離れ

今は苦悩と絶望に


心は歪み(ひずみ)

身体は歪んで(ゆがんで)

壊れ果て


心から流した涙も

身体から流れる血も

もう私を救う手では無い

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葉月 涼 @kiminokoe

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