人生初のーーーーーー。
「実はオレ。かおりに話したいことがあるんだ。アイツらの結婚式に行く前に」
「え?」
聖也くんは、真っ直ぐに私を見た。
「ずっと、いつ言おうか……って考えてたんだ。でも、なかなかいうタイミングがなくて。っていうか、言い出せなくて……。でも、決めたんだ。今日こそ絶対に言おうて。って」
「な……なに?」
聖也くんの真っ直ぐな瞳。
そして、彼の口から思いもよらない言葉が飛び出したんだ。
「かおりっ。オレはかおりのことが好きだっ。結婚してくれ!!」
一瞬。
なにが起こったのか。
頭が真っ白になって。
それから数秒後、私はスットンキョーなおたけびを上げた。
「え。えええーーーっ⁉︎」
ドスンッ。
あまりの驚きに、私は腰を抜かして尻もちをついてしまった。
け、け、結婚ーーーーーーーー⁉︎
「お、おいっ。かおり、大丈夫かっ?いや、そのちがうんだっ。だから、その、今すぐ結婚してくれという意味ではなくって。なんつーか、その……いつかは結婚したいと思ってるということでっ。いやいや、それはまず置いといていいんだ。だから、そのっ……。それぐらい、オレはかおりのことが好きだということでっ。その、だから……。も、もし、かおりさえよければ、オレ、オレとつき合ってもらえませんか!」
「…………………」
人生初の、告白とプロポーズ。
パニックになって腰を抜かしてしまった私だけど。
その私の目の前で、ものすごい勢いで私よりパニックになっている聖也くんを見ていたら、なんだか急におかしくなって。
自分でもビックリなんだけど、私は声に出して笑っちゃったんだ。
でもね。
言葉では言い表せないくらい、私は嬉しかったの。
涙が出るくらい、嬉しかったの。
その瞬間。
私も、彼のことが好きなんだ……ーーーー。
って。
ハッキリとわかったの。
初めての告白でも、プロポーズでも。
誰にされたって嬉しいわけじゃない。
聖也くんだったから。
汗だくでパニックになって、自分の気持ちを一生懸命私に伝えてくれた、聖也くんだったから。
明るくて優しくて、一緒にいていつも楽しくて。
私がいいなぁ……って思っていた聖也くんだったから。
私はビックリしながらも、腰が抜けてしまうほど嬉しかったんだ。
「か、かおり……?」
起き上がっても尚涙目で笑う私に、聖也くんが不安げにおそるおそる声をかけてきた。
「ご、ごめんね聖也くん。だって、私は私でビックリし過ぎて尻もちついちゃうし。聖也くんもすっごいパニックみたくなってるし。なんかすごい騒ぎで……。おかしくって、つい……」
まだ笑いが止まらない。
「な、なんだよー。オレ、真剣に告白したんだぞー。そんなに笑うなよー」
「ごめんね。でも……すごく嬉しかった。ビックリして腰抜かして尻もちついちゃうくらい」
私は、ようやく気持ちを落ち着かせながら、聖也くんを見た。
「聖也くん……。ありがとう。私も……聖也くんが、好きーーーー」
こんなに素直な気持ちで、こんな風に自分の気持ちを相手に伝えることができるなんて。
自分でもビックリだよ。
胸がドキドキしてる。
だけど、今なんだかすごく……穏やかな、幸せな気持ちだよ。
私の、生まれて初めての告白ーーー。
口をポカンと開けたまま、呆然と立っていた聖也くんが、目をまんまるに開いてガッツポーズをしながら思いっ切り飛び上がった。
「や、やったーーーーっ!!」
粉雪の中。
傘を放り投げて、飛び上がって喜んでる聖也くん。
そんな光景が、なんだかまだ信じられなくて、嬉しくて。
私は、また涙目で笑った。
早紀ーーー。
今頃、キレイにお化粧してもらってるとこかな。
あとで嬉しい報告があるよ。
私、聖也くんに告白とプロポーズされちゃった。
今ね、最高に嬉しいよ。
その時。
ふっと……彼の笑顔が浮かんだの。
……高林くん……ーーーー。
なんだか、私達におめでとう……って言ってくれるような、そんな気がして。
私の胸は、いっぱいになったんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます