seventeen。

花奈よりこ

プロローグ


人見知りで、臆病で、人と話すのが苦手。


伝えたい気持ち、溢れる想いは、こんなに胸の中にあるのに。


それを言葉にできない。


そんな自分がキライだったあの頃。


私は、彼に出会ったんだ。


誰もいない、放課後の教室で。


太陽のように笑い、少年のような澄んだ瞳をしているその人は。


私の世界を……


そして私を変えていく。


彼の名前は……ーーーーーーーー







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




ーーーーーーーーーーーーー




「コーヒーのおかわりはいかがですか?」



ほほ笑みかけるウェイトレス。


「お願いします」


私も笑顔でうなずいた。



「ねぇ!見て見てっ。ミユの新しい彼氏すんごいカッコイイのっ」


「えーっ。どれどれ?」



通路を挟んだ隣側のテーブルから、楽しげな女子高生達の声が聞こえてきた。


写真やプリクラなんかを数人で見せ合いっこして、きゃーきゃーと大騒ぎ。


近くの年配のおばさま達は、ちょっとうるさそうに迷惑そうに彼女達の方を見ていたけれど。


私は、なんだか楽しそうにはしゃいでいる彼女達が可愛く見えて。


窓側の自分の席から、ぼんやりと眺めていた。




私があんな風に制服を着ていたのは、もう10年も前のこと。


早いなぁ。


もう、そんなに経つんだね。



今日はね、私の27回目の誕生日なんだ。


ちょうど10年前の今日、私は17歳になっていたんだね。


制服姿のあの子達と、あの頃の自分の姿が重なった。


むろん、私はあの子達みたくパッと目立つような高校生ではなかったけど。


と、その時。


私は、その中のひとりの子に目が止まった。



なんか、あの子……早紀さきに似てる。


あの頃の早紀にーーーーー。


容姿といい、雰囲気といい。


その少女は、当時の早紀にとても似ていた。


そんな女子高生達の姿と、あの頃からちょうど10年という節目のせいか。


私は、17歳の頃のことを思い出していた。



私にとって。


忘れられない、特別で大切〝時〟となった。



あの17歳の頃のことをーーーーーーーー







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