第11話 俺の幼なじみについて
「関谷ー、昼飯食い行こーぜ」
そう言いながら、俺の肩に腕を乗せたのは、同じクラスの高田。最近よく、行動を共にしている友達だ。
「つーか関谷、ホントに水瀬と付き合ってないのか?」
「その質問、もう耳にタコが出来るほど聞かれた。水瀬とは付き合ってない、見りゃわかんだろーが」
高校に入学して早1週間。毎日されるこの質問に、俺は心底うんざりしていた。
「高田は、俺たちが付き合ってるよーに見えるのか?」
「見える」
「は?どっからどうみたってただの幼なじみだろ!」
「いやいや、毎日一緒に登校してきて、今日は帰りどこよってく?なんてデートの約束を教室で堂々として、極めつけには、あっ水瀬のジャージ俺んとこ入ってるわ、なんて、ぜってー付き合ってるだろ。つか、もう同棲じゃね?」
「ちげーよ、全部たまたまだよ。たまたま!」
「はぁ?んな理由で納得出来るかってんだよ」
「一緒に登校してくるのは、家が近いから自然と同じ時間に出るんだよ。んで、たまたま一緒になんだよ。帰りだって、いつもどっかよってる訳じゃないし」
「じゃあ、ジャージはなんなんだよ」
「それは……、あいつが家に来た時置いてっただけ。朝渡そうと思ってたんだけど、その日は忘れてて」
「ふーん」
高田は、疑いの眼差しを俺に向けてくる。やめてくれ、俺は無実だ。
「なぁ関谷、水瀬ってな、1年の裏人気投票で1位なんだぜ」
「あぁ、やっぱりか」
「やっぱりってなんだよ。やっぱりって」
「いや、最近、水瀬って彼氏いるの?って聞かれること多かったし、あいつは中学の時もモテてたから、まぁ、俺は興味ないけど」
「はぁ、んなんじゃ水瀬取られるぞ」
「取られるってなんだよ笑 付き合ってもねーってのに」
「彼氏できたら、お前、構ってもらえなくなるぞー」
「ほっとけ」
水瀬がモテるのは昔から知っていた。あいつが、顔もスタイルもいいことは、そばで見てきた俺が1番わかっている。胸だって大きくなったし………いやいや、あいつはただの幼なじみで、俺の暇つぶしの相手。ただそれだけだ。
けして、恋愛感情など抱いてはいない。
ただ、構ってもらえなくなるのは、時間の問題かも知れない。
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