16枚目 お肉が美味しいです
次々に焼ける豪快な串焼き、野菜、エビ。それを塩やバーベキューソースで食べていく。BBQと音楽ってなんでこんなに合うんだろう。
「次は私が流そうかな~。またポータブルレコードプレイヤー持ってきたからね!」
「サトちゃんはどんなの流すのかな~。」
サトちゃんは子供の写真が映ったジャケットからレコード盤を取り出すと針を落とした。民族チックな笛の音、そしてブラジリアンロックといった感じの楽曲へ。
「お、この軽快で楽しげな雰囲気と良い声のボーカル。これは青空に合うぞ。」
「おお~、ファンキーさもあり、ブルージーさもある。良いじゃねえか~。体も自然と動いちまうな。」
「これは……、Gilberto Gilね!」
「よくわかりましたねお姉さん、Gilberto Gilのアルバム、"Expresso 2222"。当時ブラジルでは先進的であったエレクトリックギターを使って音楽をしていた人。トロピカリアというロックやレゲエ、ソウルに影響を受けて、ボサノヴァやムージカ・ポプラール・ブラズィレイラ(ブラジルのポピュラー・ミュージック)を再構築したムーブメントの中心人物のひとりよ。ただそのせいもあってか、軍事政権から危険人物とみなされて、同じくトロピカリアの代表的アーティスト、Caetano Velosoとともにイギリスに亡命するの。」
「ええ!エレキギター弾いてたら捕まっちゃうような国だったの……?」
「で、このアルバムはイギリスから帰国してからの初めてのアルバム。向こうで培った色々な要素をごちゃまぜにした楽しげでパワフルな作品よ。ちなみに一緒に行ってたCaetano Velosoはこの時期ホームシックでも患ったのか、郷愁感の漂う音楽が多かったけれど、Gilberto Gilが逆に楽しそうな曲ばかり書いててそのコントラストも面白いわね。」
「へぇ~、サトちゃんって物知りなのねえ~。酒飲みてえ~!」
「"Back In Bahia"でロックを、"Chiclete Com Banana"ではボサノヴァを披露しているって感じか、表現のバリエーションが広いな。」
火が揺らめいて炭が爆ぜる、お肉が焼けていい香りする、そんな場面にすごく合う、楽しくなるような音楽でした。
☆ ☆ ☆
Gilberto Gil - Expresso 2222 - 1972
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