3枚目 イヌイヌレコード

 CHIBA駅から暫く歩いた場所にある中古レコード屋さんイヌイヌレコード、ここは小さいけれど、いろんなジャンルのCDやレコードが所狭しと並んでいて、趣味のバラバラな私たちが一番よく通うお店。


 そしてここのレコード屋さんの最大の魅力は、なんといっても学生割引が効くこと!このご時世サブスクリプションで済むけれど、現物を持ちたいという気持ちが抑えることのできない私たちの心強い味方です。


「カーッ、また来たのかガキども。」


「おじさんこんにちは~!」


「俺はまだおじさんって年齢じゃねえ!たぶんまだ、大丈夫なハズだ!」


 私たちはサクサクとレコードをめくっては、気になる盤をスマホで写真に撮ったり、データベースを参照してどんな作品かを調べる。


 お小遣いの限られる私たちは一枚のアルバムを買うのにも真剣そのものなのです。


 私たちがDIGディグに集中していると、サトちゃんが何か気になった様子でおじさんに質問している。


「あの、今かかってるやつってなんですか?」


「ああ、これか?これはピッツバーグ出身のピアニスト、Frank Cunimondo Trioの1971年の作品、"Frank Cunimondo Trio Introducing Lynn Marino"だ。」


「ピアノの軽やかでビターな雰囲気がすてきなジャズだなぁって。ボーカルもとてもキュートだし、いつでも聴けそうな音楽だわ。これ欲しいです。」


「相変わらずこのガキどもはいいところに目ェ付けてんなぁ。今流してるのはヴァイナル盤だけどこっちは高え。ガキはこっちの2017年リイシューCD盤が安くていいぞ。」


「え、これ"Feelin' Good"?すごい軽快な曲になってる!Nina Simoneのイメージが強いから新鮮だな~!」


「このアルバムはCarpentersのカヴァーもいい感じだぞ。家に帰ってゆっくり聴くんだな。」


 こうして私たちは各々に一枚ずつ、少ないお小遣いでお買い物をし、お店を出ました。


☆ ☆ ☆


The Frank Cunimondo Trio ‎- The Frank Cunimondo Trio Introducing Lynn Marino - 1971

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