第47話職業体験について

 俺が王城に赴いてから一夜明けた。


 今日から本当の学園生活が始まる。この学園は前世の日本と同じで週5日登校し、週末の残りの2日は休養日となっている。


「それではいってきます」


 俺はマーク兄さんとジェシカ姉さんと一緒に学園に登校することになった。


 叙爵の件は父さんと母さんにしか話していない。叙爵された後は陛下から貰う予定の屋敷から学校へ通うつもりだ。そんなわけで兄さんと姉さんたちと一緒に通える時に通おうということだ。



 馬車でマーサさんに学園まで連れていってもらう。


 俺が新入生ということもあり、兄さんと姉さんは馬車の中で学園のいろいろな事を教えてくれた。

 話をしているとあっという間に学園についた。


 俺たち3人は揃って桜が咲き乱れる正門と広場を繋ぐ道をゆっくりと歩く。


 貴族の子息、子女は誰に見られていても恥ずかしくない態度を常に心掛けねばならない。


 ハメを外しすぎると最悪、雷バッチをくらう恐れがある。


 さっきから歩いているが、右の集団からひそひそと声が聞こえる。


「あれはマーク様ですわね」


「ええ。やはり整った顔をしておられます」


「私、もうダメ。直視できない」


 マーク兄さんのファンクラブのようなものがあるのかな?


 マーク兄さんって人気なんだね。兄さんってなかなか自分のこと話してくれないから、正直何考えてるか分からない。


 左を見ると男3人組がこちらを見ながら歩いている。


「おお、ジェシカ様だ。眼福眼福!」


「今日の髪型はストレートってやつですかい?」


 その問いに眼鏡をかけたいかにも勉強できますよオーラ出してる人が答えた。


「ああ、そうだ。最後に見た髪型は確かポニーテールだった」


 いや、間違えた。ただの観察魔だった。


 かなりやばそうな奴らだが、こちらもファンクラブなのかな?


 前に視線を戻すと別の女子生徒3人組がこちらを指差していった。


「ねーねー、あの子すっごく可愛いんだけど!?」


「どれどれ? あっ、かわいいっ!」


「ちょっと、あの子は今年度の首席のアルバートちゃんでしょ?」


 呼び方は自由ですけどせめて君づけがいいです。


 可愛いよりもカッコいいと言われたい。まあ、まだそんな年ではないか。もう少し成長したらカッコいいって言われるかな?


 そんな事を考えているとあっという間に広場についた。


「兄様、姉様、僕の教室はあちらですのでこれにて失礼いたします」


 公衆の面前ということもあり、俺は言葉遣いに気をつけながら言った。


「ああ、それじゃ」


「それじゃまたね、アル」


 俺の思惑に気づいたのか2人とも俺に合わせてくれた。






 俺は2人と別れた後、教室に向かった。


 教室の扉を開けて入り、自分の席に着く。


 しばらくすると教室にソフィアがやってきた。


「おはよう、アル!」


「おはよう、ソフィア」


 俺は朝から元気だなと思いながらそう返した。


 昨日別れた後の父さんと母さんの王都デートの話や久しぶりの再会となった父さんとベクターさんの話をしたりしていると教室の扉が開かれ、先生が入ってきた。


「皆さん、おはようございます。まず始めに決めておきたいものがあります」


 それを聞いて、大半の生徒が首を傾げた。俺もまたその一人だ。


 先生は俺たちのそんな姿を見てもう一度話し始めた。


「皆さんも知っているかも知れませんが、職業体験についてです。ここであなたたちに質問です。社会を回しているのはいったい誰ですか?」


 急に先生は俺たちにそんな質問を投げかけた。


 質問にいち早く手を挙げたのはディーノだった。


「ディーノくん、どうぞ」


「はい、僕は国王陛下や貴族だと考えます」


「それはなぜ?」


「国策や領地経営に関して実質的に権力を持っているからです」


「たしかに君の言っていることは間違ってはいない。でも正解でもない」


 この質問は俺には痛いほどわかる。何せ前世は官僚だったんだからな。


「他に分かる人はいるか?」


 誰も手をあげないのか。なら俺が手をあげてポイント稼ぎでもするとしますか……。


「は、はいっ!!!」


 そう言って手を挙げたのはシルファだった。


「シルファさん、どうぞ」


「はっ、はい。わ、私はディーノ君が言っていた国王陛下や貴族ではなく、その下で働く者だと思います。もちろん上に立つ者も必要ですが、一人ではできません。なので社会を実際に回しているのは沢山の人だと考えます」


「正解だ。よくやった」


 先生のその言葉を聞いて、教室中がどよめいた。


「あ、ありがとうございます」


 間違ってはいないが、正解ではなかったディーノを見てみると何やらノートにメモをとっているようだ。逆恨みするやつではなく、勉強熱心なやつだと俺は思った。


「学園側の考えとしてはそのたくさんの人に君たちはなってもらいたいと考えている。流石に君たちの年齢で行政に関わることは許しが貰えていない。そこで、王都の街にある店に学園の生徒を派遣させ、そこで学んでもらう」


 聞くより自分で見て学んだ方が良いと考えたのだろう。学園側の教育方針は良いと感じた。


「ここにその派遣先のリストがある。自分たちで行き先は決められる。各自考えて派遣先を決めるように」


「「「はーい」」」


「アルバート君、ちょっとこちらへ」


 そうして俺は先生に廊下に連れ出された。



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いったい何されるんでしょうか?

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