第29話女の子との出会い

 色とりどりの花が咲き乱れる花園から一変、景色が変わり、俺は幻想的な雰囲気を醸し出す神殿にいた。

 周りを見ると一緒に祈り始めた人がまだ祈っていたので、それほど時間は経っていないのだろう。

 あまり目立たないようにしばらく神様の像に手を合わせて待った。やがて祈り終わったのか動き始めた。


「お祈りが終わりましたら、ご自由にお帰りください」


 汚れのない純白の神官服を着た女性神官が耳にスッと抵抗なく入ってくるような声でいった。


 その声を聞き、各々元来た道を折り返し始めた。俺も例に漏れることなく、折り返し始めた。






 神殿を出た後、まだまだ時間があるので、周囲から見えなくなっているアクアを連れて王都を散策した。


 昼食は大通りにたくさん並んでいる屋台で済ませた。

 少し高そうなレストランのような所もあったが、子供が一人で入るところではないと思いやめておいた。


 お腹も膨れてさあ帰ろうかと思った時だった。


「きゃああああああああっ!!!」


 大通りの裏路地から女性の悲鳴が聞こえた。

 その瞬間、俺の足は聞こえた方に走り出していた。


 なんかこういうのは見逃すことはできないんだよな。見逃して後で嫌な気分になるのはごめんだからね。


 素早く裏路地に入っていき、先程の声の主を探す。


 しばらく探し路地の角を曲がろうとしたその先に大人の男三人が制服らしいものを着た一人の女の子を壁際に追い込み囲んでいるのがみえた。中学生くらいだろうか?


 急にあの場に飛び込んでも駄目だと思い、女の子には悪いと思ったが、壁に背中をはりつけてからバレないように首をのぞかせて話を盗み聞きすることにした。


「あなたたち、こんな事をしてただで済むとお思いですか?」


「なんだよねえちゃんつれねえなあ。さっき可愛い声上げてたのに急にどうしたんだよ」


「どうせ助けなんて来ないよ。ここ結構奥だから大通りまで聞こえないよ」


「よっぽど耳が良くなけりゃ無理っすねぇ。ま、そんな人間いないっすよ」


 え? ここにいるんだけど。俺普通に聞こえたし。


 思い返してみると確かに大通りを歩いてた人は誰一人気づいた素振りは無かった。確かに俺の今のステータスは自分でもチートとわかるようなものだ。


『ステータス』


【名前】アルバート・フォン・ハワード

【種族】人間族

【性別】男

【年齢】5歳

【称号】異世界転生者、神々の使徒、ハワード侯爵家四男、水の大精霊の契約者、殺戮者、英雄

【レベル】125

【能力ランク】SSS

【体力】9750/9800

【魔力】79500/79500


【魔法レベル】

火魔法LV10

風魔法LV10

水魔法LV10

土魔法LV10

光魔法LV10

闇魔法LV10

創造魔法LV10


【スキル】

アイテムボックスLV10

魔力運用効率化LV10

身体能力強化LV10

物理攻撃耐性LV10

魔法攻撃耐性LV10

隠蔽LV10

無詠唱LV10

手加減LV-

言語理解LV-

魔力操作LV8

精霊召喚LV- 召喚時、魔力増幅


【加護】

創造神の加護、水の大精霊の加護


【契約】

水の大精霊


 まあ今はこんな感じだ。体力は少し走ったから消耗している。能力ランクというものもSSSランクで見るからに強いとわかる。


「誰か助けて下さいっ!!!」


「「「わははははっ!!!」」」


 ゲラゲラと男達が腹を抱えて笑う。


 見ていて気分の良いものじゃない。


「アクア、あの女の子を助けてあげて」


『わかったなの』


 すると男達はすぐに気絶した。


 え? ドユコト?


『人は適度な癒しは体を回復するけど、ある基準を超えると、気絶してしまうの。魔力量の多さで考えるとできるのはこの世に私とアルだけなの』


 アクアさん? 何かサラッと怖いこと言った気がするんですが気のせいですよね。そんな可愛い顔してそんなこと言いませんよね? 言ってないよね? 言ってないって言ってくれよ!!! てか俺もできるのかよ!?


 男たち三人が気絶して、しばらく女の子はボーッとしていた。おそらく目の前で起きた現象が理解できないのだろう。


 ま、助けることもできたし帰るとするか。


 俺は立って元来た道を引き返し始めようとした。


「そこにいるのは誰なのですか?」


 まさか、ばれた?

 まあ、悪いことはしてないし別にいっかな。


 俺は諦めて、女の子から見えるよう角から出た。


「男の子?」


 え? 俺もしかして女の子に見える? 確かに中性的な顔立ちだけど……。


「男の子です」


 と言った途端、


「キャー、可愛い。私を助けてくれたのも君なの?」


 いや、あなたの方が可愛いですよ。


 今アクアの透明化を解除すると逆に怪しまれてしまう。


「ぼ、僕がお姉さんを助けました」


「すごいね! 私怖くて声を出すのが精一杯だったの。助けてくれてありがとう」


 どうやら俺がなぜここにいるのかという事には気付いていないらしい。三人組の男たちの言った事を真に受けられたら困るからね。


「近道しようと思ってこんなところ通ったんだけど、これからは大通りを通ることにするよ」


 なるほど近道か。


「お姉さんは学園の人?」


「そうなの! 王立フォルトナンセ学園の三年生!」


 どうやら兄さんたちと同じ学校らしい。次男のエドガー兄さんと同学年か。


「学園に通っているということは頭が良いんだね」


「おっ! そーなんだよね。私平民だけど家に貴重な魔法の本があって小さい頃からよくお勉強してたんだ。おかげで首席で入学は無理だったけど次席で入学することができて、授業料とかはタダなんだ~」


 いや、凄い。


「ちなみに首席って誰なの?」


「ハワード侯爵家のエドガーっていう人なんだけどね。ここだけの話だよ?」


 一旦区切って


「すっごくかっこよくて、私の好きな人なんだ。毎日毎日話してて夢みたい。平民の私にも優しくしてくれて、そういうところがすっごく好きなの」


 まさかの身内登場。エドガー兄上。あなたの運命の相手は今僕の目の前にいます! この人ならあなたを任せられます!


「その人と結婚したいの?」


 俺は直球で聞いてみた。


「ふぇっ? け、け、ケッコー」


 いや、ニワトリかよ。そんなに大好きなんですね。あなたの気持ちは僕に伝わりました。


「ちゃんと気持ちを伝えた方がいいかもしれないよ? その人貴族だったら学園卒業したら会えなくなっちゃうよ?」


 少し強引だが、前世で気持ちは伝えといた方がいいと学んだからな。後悔はして欲しくない。


「そ、そうだよね。でも……」


「お姉さんは可愛いから大丈夫だよ?」


 そう。可愛いは正義なのだ。


「そ、そうかな、えへへ」


 言いたいことは言ったし、そろそろ帰ろっかな。


「お姉さん、僕家に帰らなくちゃ」


「そ、そっか。大通りまで一緒に出ない?」


「うん!」


 そうして俺たちは少し歩き大通りに出た。


「じゃあねお姉さん!」


「助けてくれてありがとう、えっと……」


「アルだよ。お姉さんの名前は?」


「リリー。じゃあねアル君!」


「じゃあね、リリーお姉さん!」


 そうして俺たちは別れた。



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【新作】


暗躍貴族~表は学生、裏は帝国暗部の期待のルーキーの俺が色々する話~


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