旦那様は魔王様

狭山ひびき

イケニエになりました!

プロローグ

 十七歳の誕生日の朝。


 わたしは、なぜ両親から愛してもらえなかったのかを知りました。


 でも、それでよかったのかもしれません。


 氷のように冷たい目をした、氷のように美しいこの人に、同じく氷のように冷ややかに見下ろされても、わたしはつらくありませんでした。


 愛されないことに、慣れていたから。


 ただ――


 ほんのちょっとだけ。


 本当にちょっとだけですが。


 悲しいと思ってしまったことだけは、許してください――

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