見送り

そんな日々が続いたある日。

今日の未映は少し様子がおかしかった。


妙に静かで一言も喋らない。

話し掛けても何も言わない。


そんな未映の頭を撫でていると、未映は掠れた声で俺に言った。



「キス…して欲しいな」



切ない声で言う未映に、俺はすぐ微笑みうなずいた。



縁を戻してからは初めてのキスになる。


二人は現実から逃げるように目をつぶる。

そして俺はそっと未映にキスした。


未映の頬に涙が伝う。

口を合わせているだけでも苦しそうな未映。

俺は口をゆっくりと離し、未映の目をまっすぐ見つめる。



未映は幸せそうに笑っている。

そして、

「ありがとう」と呟き、目をつぶった。



しかし未映の目はそれから開くことはなかった。



山岸 未映。17歳。

この世を去るには早すぎる歳であり、何故去るのが未映だったのだろう。

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