第8話
僧侶のチコが使っていたスキル、『
これが投網みたいな見た目だったので、もしかしたら悪いヤツを捕まえるのにも使えるかと思ったんだ。
しかしチコはそんな風にして使ったことはなかったらしく、青天の霹靂に打たれたような顔をしていた。
「すごいのだ! チコもこれを使えば、ルーコの戦いを助けられるのだ!」
そして、それからの俺たちは新しい戦い方を編み出した。
『オーワンファイブセヴン』を見つけたら、まずはルーコが名乗りをあげて、
「見つけたであります、『オーワンファイブセヴン』! 見つかった以上、どこにも逃げ場はないのであります! 素直にお縄につくであります! これは、警告であります!」
オッサンたちは警告を無視し、当然のごとく襲いかかってくるのだが、そこで俺とチコが、
「
と糸で絡め取って、捕縛……!
本当は警告などせず、不意打ちをすればもっと簡単に捕まえられただろう。
でもそれをしなかったのは、卑怯なことはしたくないというルーコのこだわりであった。
そしてこの作戦は、歯車のようにカッチリと噛み合い、俺たちは勢いよく回りだす。
見つけた『オーワンファイブセヴン』を、手当たり次第に撃破していく。
これにはさすがのルールルも、珍しく素直に驚いていた。
『
褒めるのも素直じゃないツンデレ女神であったが、正直、悪い気はしなかった。
そして褒められると伸びるタイプの俺は、さらなる新戦法を思いつく。
「そうだ!
『時給』というのはネトゲ用語で、1時間あたりに稼げるお金や経験値のことを指す。
ネトゲというのは同じことの繰り返しが基本なので、同じ時間を掛けるならば、より多くのリターンを得られるように試行錯誤をするんだ。
たとえば、狩る対象のモンスターに合わせてパーティメンバーを変えたり、装備やスキルの組み合わせを工夫したりする。
俺はいつの間にか、オタクグループと遊んでいたネトゲと、いまの状況を重ねあわせて考えていたようだ。
新しく考えた作戦というのは、2体以上の敵と戦う場合、俺は最初に
その1体に突っ込んでいって、身体の中に潜り込み、
俺ひとりだけで、1体を倒すことができる。
その間に、残った1体はチコとルーコのコンビネーションによって倒されている、というわけだ。
俺にとっては大忙しなこの作戦、1戦終わるたびにMPがカラになって大変だったのだが、メリットもあった。
今までは俺はアシスト役だったのだが、アタッカー役にもなったおかげで、経験値が入ってくる。
そしてついに、レベルアップ……!
名前 なし
LV 2 ⇒ 3
HP 20 ⇒ 30
MP 20 ⇒ 30
VP 10 ⇒ 20
スキル
VPが20ポイントになったので、せっかくだから何かスキルをパワーアップさせてみよう。
今だと、戦いを効率的にするために、
こうやってスキルポイントの割り振りを考えるあたりも、本当にネトゲみたいだ。
しかしそれがまた楽しかったりするんだよな。
俺は悩んだ挙句、
名前 なし
LV 3
HP 30
MP 30
VP 20 ⇒ 10
スキル
今回は名前の後ろに数字が付いたので、たぶんスキルのレベルが上がったんだろう。
どう違うかは使ってみればわかるだろうと思い、そのあとの戦いで、さっそくレベル2になった
オッサンの身体の入りやすさは変わらず、破裂させるまでの時間も同じだったのだが、倒したあとに、
名前 なし
LV 3
HP 30
MP 30
VP 10
スキル
NEW!
新しいスキルが増えた……!?
『
ランダムドロップというわけか!
これは戦いがさらに楽しくなりそうだな!
新しくもらった、『
酸に強くなるパッシブスキルかな?
でも、なんで酸に対する耐性なんて持ってるんだろう?
『病原性大腸菌であるO-157の感染経路は、
強い酸性を持つ器官……?
そうか、胃か!
『はい、その通りです。口から人間の体内に入った細菌は、多くが胃酸によって死滅します。しかしO-157は酸に対する耐性を持っているので、胃では溶けずに腸に達するというわけです』
な、なるほどぉ……!
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