第8話 殲滅の光と破壊の雷光。

 天周の周囲の空気が熱でゆがみ始める。


 まだだ!


 まだ力が足りない!


 天周は両手の摩擦を続ける。




「セブンスエネミーのエネルギーが、さらに上昇しております!」


 オペレーターの見るディスプレイには、上昇し続ける数値が映しだされている。


 まだ、エネルギーが上昇するというのか!?


「グラムスレイーベルのエネルギー充填率の報告をせよ!」


「現在の充填率62%です!」


「クソッ!」


 司令官は机を叩きつけた。




 熱い・・・ッ。


 体が熱い!


 手が!


 喉が!


 眼が!


 脚が!


 胸が!


 全て熱い!


 苦しい!


 苦しい!


 苦しいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!


 天周は口端を上げて笑みを浮かべる。


 だが、まだだ!


 両手を摩擦し続けた。


 赤のオーラが天周にまとわる。



「セブンスエネミーのエネルギーが測定できる限界値を突破しました! エネルギー、測定できません!」


「エネルギー充填率が発射可能域に到達次第、グラムスレイーベルを発射せよ!」


「発射可能充填率の80%まで残り5%です!」


「了解! 狙いは外さねえ!」


 パイロットマサラまばたきを止め、照準を覗く。


 トリガーを持つ両手は、血管が浮くほど力がこめられていた。




 天周の周りに白蛇のようにうごめく稲妻が走っていた。


 プラズマ。


 空気をも分解するそれは、破壊するモノを求めて暴れ狂っている。


 天周は右手の親指、中指、小指を立て、人差し指、薬指を曲げ、三つ矛の槍の形を作った。


 周囲を蠢く白雷は、れた地面をえぐり、空気中の目に見えないちりは音を立ててらわれる。


 体中が痛い。


 歯を食いしばる。


 この一撃を、ブチ込んでやる!


 天周は右手を引いた。




 高エネルギーレーザー砲グラムスレイーベルの砲口から光があふれる。


「カウントダウン入ります! エネルギー充填完了まで5・・・4・・・3・・・2・・・1」


「グラムスレイーベル、発射ッ!!」


「くらいやがれええええええええええええええええええええええええええええええええ!」


 パイロットマサラは血走った目で叫び、トリガーを躊躇ちゅうちょなく引いた。


 カチ。


 高エネルギーレーザー砲グラムスレイーベルの砲口から、殲滅の光が発射される。






けてつらぬけッ!」



 赤いオーラとうごめく稲妻をまとい、西園寺天周さいおんじてんしゅうは叫んだ。



 これが第六冥天威だいろくめいてんいが奥義が一つ!



三つ矛の救済船トライデント・ノアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」



 三つ矛の形をした右手が突き出される。




ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!




 破壊の雷光が、地を駆けた。

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