第7話 充填開始。エネルギー上昇。高まる力と力。

 特警とっけい管制室かんせいしつに司令官の声がひびく。


「只今より、この青年をセブンスエネミーと認識する! グラムスレイーベルの充填を再開し、充填が完了しだい発射! 目標を殲滅せよ!」


「了解! グラムスレイーベルの充填を再開します!」


 オペレーターたちはキーボードを嵐のごとく打鍵だけんした。


 パイロットマサラは照準の中心に青年を入れる。


 トリガーを持つ手は汗で濡れていた。




 クソがッ!!!


 天周は胸の内で悪態あくたいをついた。


 前にそびえる巨大ロボットを見上げる。


 ロボットと同じくらい巨大な大砲を天周に向けて、ロボットは停止していた。


 人が入れそうな砲口には光が集まっている。


 天周は両手を合わせ、激しく摩擦する。


 サスサスサササササアアアアアアアアアアアアアアアアキィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!


 高速で動く両手は残像し、耳鳴りのような高い音をひびかせる。


 天周は歯を食いしばり、


 目を大きく開け、


 うめき声を上げる。


 我らの戦いを邪魔して、無事で済むと思うな!


 両手の摩擦は激しさを増し、さらに高い音を上げた。




「セブンスエネミーのエネルギーが、さらに上昇しております!」


 司令官はオペレーターの報告は耳に入っていたが、口を開けたまま固まっていた。


 今まで戦ってきた敵は戦闘時に姿を変えていたのだ。


 巨大化する。


 化物に変わる。


 眼に魔法陣を宿す。


 モンスターを召喚する。


 背中に七つの羽を生やす。


 だが・・・。


 ディスプレイに映しだされたセブンスエネミーを見る。


 この青年は人間の姿のままだ。


 今、私たちは一体・・・。


「何と戦っているというのだ・・・?」


 司令官は誰にも聞こえない呟きをもらした。

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