第8話 抵抗の意思。

 些天意さてんいは動かない。


 ただ、不敵に笑っていた。


「来ないの?」


 スーツ女トキワの額から、バケツをひっくり返したように汗が流れた。


 些天意さてんいは両手を広げる。


「あたしの出方でかたうかがっても、何もしないよ? 有利な先手は、あなたに譲ってあげるわ」


 スーツ女トキワは感じていた。


 手加減して、捕獲を望んでいては、自分がやられると。


 この人類の敵は、


 ここで、


 殺害するしかない、と。


「・・・では、最後の確認です。抵抗の意思があると、みなしてよろしいですね?」


「ん~。抵抗の意思は無いよ?」


 だが、言葉とは裏腹に、些天意さてんい酷薄こくはくな笑みを浮かべた。


「でも、私を捕まえようなんて考えてるなら、容赦無ようしゃなく抵抗する気だよ?」


 ブワ。




 ・・・すごいプレッシャーだ。




 スーツ女トキワの体が震える。


 だが、唇を噛んで、体の震えを止めた。


 銃を持つ手に力をこめる。


 どのような敵であろうと、それが敵である以上、私はこの力を行使こうしし、敵をさばく!



「・・・いいでしょう。抵抗の意思ありとみなし、特警とっけい権限けんげんにより、」



 スーツ女トキワの片眼のしゅ六亡星ろくぼうせいの輝きがす。






「あなたをこの場で処分します」

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