第6話 金色の手帳。

 俺たちはめっちゃ逃げた。


 そして、


 夜。


 超高層ビルの屋上。


「逃げ道は無くなりました」


「こんな場所まで追いかけてくるなんて・・・」


 スーツの女は俺たちに銃を向けたまま、歩いて近づいてくる。


「なんで俺たちを捕獲しようとする?」


「平和のためです」


「そうか」


「そうです」


「俺には心当たりが無いぞ?」


「目的はあなたではありません」


「なんだって!?」


「私の目的は、そこの彼女です」


 スーツの女は些天意さてんいを指さした。


「うへえええ!? あたしなの!?」


「あなたは我々から、人類の敵と認定されました」


「うれしかないよ!」


「そうですか」


「なんで、あたしが人類の敵あつかいされちゃってるわけさ!?」


 スーツの女が睨む。




「魔法使い」




「な!?」


 俺は驚いた。


 些天意さてんいのことがバレている!?


「違うっての!」


「え?」

「え?」




「あたしはよッ!!!」




「そうだった!」


 違うのか?


「魔法使いと魔法少女は同じです」


「なんだって!」

「そうだったの!?」


 やっぱり同じだった!


「自己紹介が遅れました。こういう者です」


 スーツの女が、金色の警察手帳みたいなヤツを見せてくる。


「私は特別警察組織とくべつけいさつそしき通称つうしょう特警とっけい所属しょぞくしております」


「なんだと!?」


「そう」


 スーツの女が銃を向けたまま、二本指で敬礼けいれいした。


「私は特警一課とっけいいっか所属、スーツの女トキワ。人類の敵とみなし、あなたをここで捕獲しますッ! 覚悟してください―――フォースエネミーッ!!!」

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