俺、読者モデルになりました!?~最近、女子たちが怖いです~

ササミストリート

第1話 成瀬裕翔という男

 _________大学生活。


 文化系のサークルに入り仲間と談笑したり、

 ボランティア活動で社会に貢献し汗を流す。


 …確かに当時の俺は夢を見すぎていたのかもしれない。


 けど、流石にこの仕打ちはないだろ。


 授業では両隣の席には誰も座らない。

 話しかけようとする度に逃げられる日々。


 ……正直心が折れそう。


 俺、成瀬裕翔は今日も1人でキャンパスライフを送っている。


 どういう経緯があって現状にいたっているのかと言うと.......。


 主にのせいだ。



 ________入学初日。



「ここか。」


 ぼっちだった高校生活を大学では卒業すべく俺は講堂に入った。


 .......そうしたら、あいつがいたのだ。


 俺は下を向いて、なるべく気づかれないように入っていった。

 .......まぁもちろん隠し通せる訳もなく。


「あれあれー。陰キャくんじゃん。

 ひっさしぶりー。」


 登坂優斗とさかゆうと


 …なぜこいつが?


 登坂とは同じ名前ということもあり、イケメンのこいつよく比較対象にされた。


「ゆうとー。だれ?」

「ただの陰キャだよ、マキ。」


 こいつ、また違う女かよ.......。


「きゃははは、陰キャと同じ授業とかマジでウケるんですけどー。」


 キャハハって笑う女は実在したのか。


 それよりもそんな大声で言われたら.......。


 こうして同じ高校だった奴に陰キャであることを暴露され、俺の大学デビューは呆気なく失敗に終わった。


 .......でも俺は諦めなかった。


 積極的にグループの輪に入ろうと頑張った。でも返ってきた言葉はお決まりの一言。


「ごめん、陰キャはちょっと。」



 ______________________________




「うわ、おにぃは大学でもぼっちなの。」


 家でも義妹の成瀬結乃なるせゆのにいじられる始末だ。

 胸は…無いが小動物みたいに小柄で整った顔立ちをしている。


 まぁ兄妹でここまで顔面偏差値に差があると流石の俺も悲しくなるわけで…


 ……てかさっきから、なんでこんなに嬉しそうなんだよ。


 結乃だって昔は「おにぃとけっこんする。」

 って言ってたのに。


 ちょっとさびしい。


「.......その前髪、切っちゃえばいいのに。」

 突然、結乃はハッしたように口を押えた。


「ごめんおにぃ。また、私.......。」



 茜は悪くない、立ち直れないのは自分の責任だ。と思いながら結乃の言葉に黙ることしか出来なかった。



 ______________________________




 _________中学生の頃、成瀬裕翔の前髪は今よりずっと短かった。


 そんな俺には当時好きな女の子がいた。


 雪ノ下茜ゆきのしたあかね


 触れただけで溶けてしまいそうな文字通り、雪のような白い肌。まだ少し幼さが残る整った顔立ち。


 全てが美しく…どうしようもなく当時の俺の目を惹き付けた。


 そして



 ......俺の初恋だった。



「お...おれとつき合ってください。」


 ......気づいた時には、人生初の告白していた。

 顔が焼けるほど緊張したのを今でも覚えている。


「…はい、喜んで。」

 彼女は雪を溶かす太陽のような笑顔で答えてくれた。


 茜も俺の事が好きだと知った時は、どうしようもなく嬉しかった.......。


 _________



 しかし、その次の日に彼女は学校を休んだ。


 心配した俺はすぐにお見舞いに行った。

 そして、茜の家のインターホンを鳴らし、

 茜を呼び出した。


「あかね、だいじょ」


「裕翔くん。」


 突然言葉をを遮られた。


「えっ…と、あか」


「いいから、聞いて。」


 突然強い口調で言われた俺は押し黙るしか無かった。


 そして、次に茜の口から開かれた言葉は俺の全身に衝撃が走らせた。


「おね.......から別れ...く...だ.......い。」


「.......え?」


「えーっと、聞き間違いかもしれないからもう一回言ってもらっていい?」


「.......お願いします。私と別れてください。」


 信じられなかった。


「どう....し....。」


 俺はすぐに理由を聞こうとしたが、茜は

「ごめ....ん、耐えられないの。裕翔く…んのせいで...わたし..が。」


 彼女の泣き声を聞いて俺は全てを悟った。


 .......泣くほど辛かったのかよ。

 .......あの笑顔は嘘だったのかよ。


「.......そうか.......よくわかった。」


 俺は走りだした。


「ゆうとくん、まっ.......。」


 茜は何か言っていたけど

 聞こえない、聞きたくない。


 俺は泣きながら家に帰った。



 ______________________________



 家に帰るとそこには結乃がいた。

 俺は安心してしまったのだろう。


「おにぃ、おかえり.......って

 えっ?ちょっ。」


 ________俺は泣いた、妹に泣きついた。

 茜と俺ではつり合うわけない。

 わかってた、わかってはいたけど…。


 .......くやしかった。


「おにぃ、つらかったんだよね。」

 結乃は俺の頭を優しく撫でてくれた。



 ______________________________



 こうして俺の初恋は終了を告げた。





「ふふふっ、結果オーライ。」




 _________結乃の不敵な笑みには少しも気づくことなく。










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 拙い文章ですが、読んで下さりありがとうございます。作者のノミのモチベーションのために、なにとぞフォローの程をよろしくお願い致します。




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