第43話 迎えが来て
私とクラーナは、家で待っていた。
レフィリーナちゃんとレクリアさんが、ラノアを迎えに来てくれるのだ。
「きちんと、準備はできたわね?」
「うん! 忘れ物もないと思う!」
今日は、ラノアがレフィリーナちゃんとお泊り会をする予定になっている。
朝早くから迎えに来て、三日間あちらの家で過ごすのだ。
帰ってくるのは、明々後日の朝か昼くらいになるらしい。二人でたくさん遊ぶことができるだろう。
「あっ……」
「来たみたいね……」
「うん!」
家の戸を叩く音に、三人で反応した。
どうやら、二人が来てくれたようだ。
「はい、今開けます」
「おっ……」
「あら……」
戸を開けると、予想通り、レクリアさんとレフィリーナちゃんがいた。
二人とも、直接会うのは前に家に来て以来だ。ラノアとレフィリーナちゃんの手紙のやり取りで、緊張は大体知っているが。
「レフィ!」
「わあっ!」
ラノアは、久し振りに会ったレフィリーナちゃんの胸に飛び込んだ。
余程、会えたのが嬉しかったのだろう。尻尾が左右に暴れている。
「ラノア、久し振りだからといって、いきなり抱き着くなんて……」
「嫌だった?」
「い、嫌ではありませんが……」
ラノアの上目遣いに、レフィリーナちゃんはすぐに折れた。
あの上目遣いは、反則である。あんな目をされたら、何をしても許してしまいそうだ。
それにしても、二人のこの光景はどこかで見たことがある。昔、私もよくクラーナとこんなやり取りをしていた気がする。
「いやあ、相変わらず、激しい求愛だな。流石は、犬の獣人という訳か」
「あ、レクリアさん、お久し振りです」
「ああ、久し振り。どれ、私達も抱き合ってみるかい?」
「え?」
「いや、冗談だって、でも、私も同じようなことをしたと思ってね?」
「ああ……」
レクリアさんの言葉に、私は思い出した。
そういえば、以前、レクリアさんも私に抱き着いてきたのである。
あれは、お母さんの忘れ形見と会えたという嬉しさからとって行動だろう。ラノアがレフィリーナちゃんに再会できた嬉しさは、それに匹敵するものなのかもしれない。
「というか……今日は、あなたの家に遊びに来たのではありませんのよ? 本来の目的を思い出してください」
「あ、そうだね……私、レフィの家に今から行くんだった」
「ええ、私に抱き着くなんて、後でいくらでもできますわ。あなたが今しなければならないことは、アノンお姉様やクラーナお姉様とお別れすることですわ」
「そうだね」
レフィリーナちゃんの言葉に応じて、ラノアはその身を離した。
私達に、お別れの挨拶をするということだろう。
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