第39話 手紙の完成?

 私とクラーナは、ラノアが手紙を書くのを待っていた。

 とりあえず、書いてもらった手紙を、三人で評価するのだ。


「できた……これでいいのかな?」

「ちょっと、待ってね」

「今、私達で読むわ」


 私とクラーナは、ラノアから渡された手紙を見てみる。

 すると、そこにはラノアの文字で、短い文章が書かれていた。


『レフィへ


 手紙をどうやって書くか、アノンとクラーナと話し合ったけど、よくわからなかったよ。


 とりあえず、最近あったことを書けばいいみたいだけど、それでいいの?


 手紙って、何を書けばいいのかな? 教えてくれると嬉しいな



ラノアより』


 手紙に書いてあったのは、先程のやり取りだった。

 近況の報告ということで、そのことを書いたようである。

 手紙としては、短いかもしれないが、悪くないものなのではないだろうか。

 レフィリーナちゃんが返信する時の話題作りにもなっているし、私としてはこれで問題ないように思える。流石、ラノアだ。


「これで、いいんじゃないかな?」

「ええ、最初だから短い文章なのは仕方ないだろうし、ラノアの素直な気持ちが書いてあるから、いい手紙だと思うわ」

「本当? それなら、良かった!」


 私達の言葉に、ラノアは喜んでくれた。

 とりあえず、これでこちらからの手紙は問題ないだろう。後は、レフィリーナちゃんの返信次第と考えればいいはずだ。


「でも、こうなるなら、レフィから先に送ってもらえば良かったかも……」

「そういえば、ラノアから送りたいって言ったんだね」

「うん、挑戦してみようと思ったんだ。でも、いざ書こうと思うと、意外に何も思い浮かばなかったんだよね」

「まあ、何事にも挑戦してみることは悪いことではないわ」

「うん、その精神はすごいと思うよ」


 今回の手紙を提案したのはレフィリーナちゃんである。

 しかし、ラノアから書くことになったのは、彼女自身の発案だ。

 挑戦してみようと思うその気概は、いいものである。結果的には、悩んでしまったが、それでもこれは褒められるべきことだろう。


「さて、できたのだから、後はこれを出すだけね」

「うん、そうだね」

「こういうのって、あっちの皆が運んでくれるんだよね?」

「あ、うん。そうだね、その可能性はあると思うよ」


 ラノアの言葉通り、こういう手紙を運ぶのもガラン一派の仕事の一つである。

 もしかしたら、この手紙もあそこで働いている誰かが運んでくれるかもしれない。

 それも、ラノアにとって嬉しいことであるようだ。あそこの人達は、ラノアをとても可愛がってくれている。そんな人達に運んでもらえるから、ラノアも喜んでいるのだろう。

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