第7話 依頼に行くには
私とクラーナは、ラノアちゃんを連れて、ある場所に向かっていた。
それは、ラノアちゃんを預ける場所である。
私とクラーナは、生活と獣人の里への道が現れているかどうか確かめるために、依頼に行かなければならなかった。
しかし、その場合、ラノアちゃんは一人になってしまう。それは、少し心配なことだ。
そのため、私達はラノアちゃんをある人に預けることにしたのだ。
「あれ? 二人……いや、三人?」
私達がその場所を訪れると、目的の人物が目を丸くする。
丁度、畑に出ていたみたいだ。
「サトラさん、おはようございます」
「おはよう、サトラ」
「おはよう。なんだか、見慣れない子がいるね?」
私達が挨拶すると、サトラさんはそう答えてきた。
まあ、ラノアちゃんを見てそう思うのは無理もないだろう。
という訳で、私は簡単に説明することにする。
「この子は、ラノアちゃんです。犬の獣人達の隠れ里に向かいたいらしいんですけど、まだ入り口が現れていないから、私達の家にいてもらっているんです」
「ラ、ラノアです……」
「へえ、なるほど、大体事情はわかったよ。よろしくね、ラノアちゃん」
「よ、よろしくお願いします……」
私の短い説明だけで、サトラさんは全てを理解してくれた。
何故、隠れ里に向かっているかなど、聞かないでくれるのはありがたい。恐らく、サトラさんもあそこで暮らしていたことから、なんとなくわかるのだろう。
「それで、どうして私の所に?」
「実は、依頼に行きたいんですけど、その間ラノアちゃんを見ていてもらえないかと思って……」
「ああ、なるほど……」
私がここに来たのは、ラノアちゃんをサトラさんに預けたかったからである。
同じ犬の獣人のサトラさんなら、ラノアちゃんでもきっと大丈夫なはずだ。
「まあ、私はいいけど……テットアさん!」
「はーい!」
そこで、サトラさんはテットアさんに話しかけた。
サトラさんは、現在八百屋のテットアさんの畑を手伝いながら、生活している。
こちらで生活するにあたって、仕事を探していた所、隠れ里で学んだ農業の知識を生かせることに目をつけて、テットアさんの元でお世話になることになったのだ。
「サトラちゃん、どうしたの? あら? クラーナちゃんに、アノンちゃんも……」
「しばらく、この子……ラノアちゃんを預かって欲しいらしいんだけど、いいかな?」
「ええ、いいわよ。ゆっくりしていってね、ラノアちゃん」
「あ、はい……」
テットアさんは、快く承諾してくれた。
テットアさんは、獣人に対して差別がないので、そういう意味でも、ここはいいと思っていたのだ。
「それじゃあ、ラノアちゃん、私達は行くからね」
「あまり迷惑をかけたら駄目よ」
「うん!」
私達が声をかけると、ラノアちゃんは元気よく応えてくれる。
どうやら、あまり心配はいらなそうだ。
「あ、サトラさん、獣人の里がいつ行けるようになるかわかりますか?」
「あ、どうだろう。こないだが、結構前だったから、後二、三日後くらいかな?」
「そうですよね、ありがとうございます」
こうして、私達は依頼に出かけるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます