第82話 その疑問にどう答えるか
私とクラーナは、リュウカさん、ティネちゃんとともに依頼に来ていた。
クラーナは、ティネちゃんに何かを感じていたようだが、それは後で教えてくれるらしい。
私達は今最寄りの森に来ている。そこにいる魔物を退治するのだ。
「……お前ら、本当に仲いいな?」
「え? そうですか?」
そんな中、リュウカさんが私達に話しかけてきた。
私達の仲がいいのは当然だが、一体どうしてそう思ったのだろうか。
「いや、だって、さっきから手を繋ぎっぱなしだろ?」
「あっ……」
「そういえば、そうね……」
「もしかして、本当に特別な関係になったのか?」
そういえば、私とクラーナは、リュウカさんと会った時からずっと手を繋いでいた。
元々差別の目で見られているため、他人からの視線を気にしなくなった私達だが、これは駄目だったかもしれない。
リュウカさんは私達を差別しないので、この行為に違和感を覚えるのも当然だ。いくら仲が良くても、手を繋ぎ続けるのはおかしい。
「特別な関係って、なんなのかしら?」
「え? そりゃあ、恋人とか……」
そう思い、焦っている私に対して、クラーナは冷静だった。
リュウカさんに対して、淡々とそう聞いたのだ。
「恋人……」
そこで、ティネちゃんが言葉を発した。
何やら、恋人という言葉に反応したようだ。
「ティネ? どうしたんだ?」
「な、なんでもないです……」
リュウカさんの質問に、ティネちゃんはそう答える。
その顔は、何故か赤くなっていた。
もしかして、恋人というのが恥ずかしいのだろうか。
「うん? まあ、いいか……」
リュウカさんは、細かいことは気にしないので、それ以上は言及しない。
こちらのことも、気にしないでくれるなら、ありがたいのだが。
「それで、実際、どうなんだ?」
しかし、リュウカさんはそう聞いてきた。
だが、私達は、特に何も答えを出していないので、戻るのも当然だ。
そこで、私は考える。
リュウカさんになら、本当のことを話してもいいのかもしれないと。
リュウカさんは優しい人なので、私達の関係を知っても大丈夫なはずだ。
ここまで疑われるなら、その方が早い気がする。
「仮に、私達が恋人だとしたら、どうなのかしら?」
「どう?」
「どちらにせよ、私達の仲はいいのだから、何も問題無いんじゃないかしら?」
私がそう思っている内に、クラーナが答えを出した。
それは、リュウカさんに判断を任せるような曖昧な答えだ。
「……それも、そうか」
その答えに、リュウカさんも納得したらしい。
やはり、細かいことは気にしないようだ。
私達は、そんな会話をしながら、森の中を進んで行くのだった。
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