傷付いた身体
椎名由騎
辛い共闘
暗い森の山中。
たった二人での決闘をしていた時の奇襲。お互いに傷を負って逃げては隠れるの繰り返しを続けていた。
時々止血をしては森の奥へと逃げる。嫌いな奴を討ちたいが為に進むだけ。
しかし、その逃げる行動も時が経ってしまえば無意味になる。剣士と忍の両方を殺すことが目的の奴らはこの先が崖だということを知っていた。そして忍もそのことに気付いていた。
「はぁはぁ……くそがっ!」
既に崖まで追い込まれていた剣士は木陰に隠れながら止血を進める。奇襲を仕掛けた来た奴らの顔を確認していないが相当の手練れだということはわかっていた。剣士は生き絶え絶えにそう呟くと、敵対してる忍は木の上で手当てをしていた。
「お前も敵を作りやすいのだな」
「手前だけには言われたくねぇよ。話しかけるな」
忍は剣士にそう言うと、剣士は邪険そうにそう言うと、剣士は作戦を考えていた。だが、数がわからない以上剣士一人でこの場を生き延びることは難しい。忍は人数は大方の把握が出来き、足が速い分逃げることは可能だが、万が一捕まってしまえば力の差で勝つことは難しい。お互いがそれぞれで不利な部分をわかっており、答えだけは決まっていた。
しかしその答えはどちらも考えたくはない選択肢であり、お互いに弱みを握られる可能性がついて回る。それを考えている時間も刻々過ぎていき見つかるまで時間がない。
「このまま俺だけ逃げてお前が死ぬのを見物するのは癪だな」
「手前が殺せないのに死ぬわけないだろ」
「なら、この後どうするんだ?」
忍の言葉に剣士は口を閉じる。時間がないことはわかっているが、ふん切れがつかない。強く口を噛み締めて剣士は鞘から剣を抜いて立ち上がった。
「仕方ねぇから、一旦休戦だ」
「そうですか。まぁ、その方がいいでしょう」
忍のその言葉に木を下り、剣士の後ろに下がると、剣士は振り返る。
「ただし、手前を倒すのは俺だからな」
「それはこちらの台詞。俺がお前を殺す」
お互いに殺気が強いのを多少抑えながら向かってくる敵に殺意を向け、それぞれの役割をする。
できればしたくなったが共闘をすることになった。
傷付いた身体 椎名由騎 @shiinayosiki
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