夜空星空1-3

 衣類を着る意義か……


 私からすれば着ているのが当たり前。

 だが、メアリにはどう説明したものか。


「ほら、日差しが肌に当たるのを防げるし、擦り傷を防ぐこともできるよ」


 そう言いつつ、メアリに腕を伸ばしてもらう。

 ああ、やっぱり。さっきプールサイドから転げ落ちた時の擦り傷が腕にある。

 彼女の人魚としての下半身は鱗によって守られているが、上半身は人間と同じように無防備で傷付きやすいように思う。


「だから、必要であれば君に合う服を用意するよ。なんでも似合うと思うし」


 何より彼女は人魚姫。仰向けなど何気ないポーズでもこちらとしては目のやり場に困ることがある。なので、常に何か着てくれていると安心できる。


「例えば、だよ。ジェイ」


 メアリはしばらく首を傾げたりしながら考えていたのだろう。


「水の中でも、水から上がっても重さの変わらない服ってある?」


 水を含んだブランケットは重くなるし、私の上着を着て泳ぐのは難しいと思っていたのだろう。特に彼女は水辺が前提。当然の要求だろう。


「たぶん、大丈夫。俺達にも泳ぐための水着ってのがあってね。その素材を使えば」

「ほんと!?ならお願いしようかな!」


 眼を輝かせるメアリを見てしまった以上、期待には応えないといけない。

 多少おしゃれな方が良いか?


 もちろん、水着も人魚用に考えないといけないし、水着だけではボディラインも気になる。なら軽い素材の上着も必要か。いや、どこまで考えているんだ私は。

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