第13話神獣視点

 たわいのないモノだ。

 余から見れば、聖女と言えども人間などお子ちゃまだ。

 中食の途中で食卓で寝てしまうなど、幼子と変わりない。

 子育ての頃を思い出してしまう……

 懐かしい大切な珠玉の思い出だ。

 また子供が欲しくなってしまう。


 まあ、それはまた後で考えよう。

 今はこのお子ちゃまのお世話をせねばならん。

 人間はとても壊れやすいので、念動系の魔法を使って優しくベットに運んでやる。

 熟睡しているのを確認したら、次は体の健康確認だ。

 今日は急激に鍛え過ぎたからな。


 聖女は遊んでいるだけだと思っている。

 だがそれは違う。

 徹底的に鍛えてやったから、身体への負担はかなり大きい。

 特に各筋肉や神経、骨や内臓に付着した魔素と神素の処理を間違えると、内部から身体が壊れてしまう。


 しかし心配は無用だ。

 余が丁寧に治療回復してやる。

 心から感謝するがよい。

 まあ、自慢するのも大人げないから、黙ってやってやる。

 自己治癒力を高めることが一番大切だから、自己回復力を高める魔法をかけて様子を見る。


 それでも処分しきれない魔素と神素を、余の魔力を外部からそそいで流す。

 見落としがないように、慎重に丁寧に流す。

 ついでだから、魔力や神力が流れる道は広がるようにする。

 だが無理して破ってはいけないので、慎重に、さらに道が丈夫になるようにする。

 何度も何度も繰り返して道を広げ丈夫にする。


 一番大切なのは、魔力や神力を蓄える場所だ。

 人間は全体を称して魔力回路と言っているが、魔獣の持つ魔核や魔石と同じだ。

 その大きさや美しさ、生きているときの状態と死んでいるときの状態で呼称は変わるが、魔核・魔石・魔晶石と呼ばれているモノは基本みな同じだ。

 問題はどれだけ大きくて丈夫かという事だ


 人間は身体が小さいから、身体の中にある魔核も小さい。

 その小さい魔核に魔力をたくさん蓄えようと思うと、魔力を圧縮しなければいけないが、そのためには魔核が丈夫でなければならない。

 同じ大きさで圧縮した魔力を蓄えるのだから、魔力を持つ者ほど魔核が硬くなるし、蓄えた魔力の量で光り輝き宝石のように美しくなる。


 だがとんでもない裏技がある。

 身体の中に亜空間を創り出し、そこに魔力や神力を蓄えるのだ。

 その裏技があるからこそ、余や神々は身体を小さく変化させても魔核が邪魔にならないのだ。


 問題はどうやってそのイメージを聖女に伝えるかだ。

 イメージが伝わらないと真似する事はできない。

 もともと聖女は人間の常識では測れない、莫大な魔力と神力を蓄えられる、規格外れの魔核をもっているが、この聖女を狙う者がいるのは確かだから、教えられることは全て教えてやりたいのだが……

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