第99話 王妃様のお部屋

「お招きに預かりまして」

「来てくださって、ありがとう」

嬉しそうに笑う顔は、さすが親子、セヴリップそっくり。

促されるまま、王妃様からみて、丸テーブルの左60度の位置へ座る。

あーやばいな、何ていうか、淡いピンクに、山盛りレースに、汚部屋の住人にはちょっと…

「今日は子供達、とても楽しそうに帰って来ました」

ああ、うん、まぁ。

勧められたお茶はクリアな明るい緑…抹茶じゃない。

器はボーンチャイナか?陶磁器か?

「お砂糖はいります?」

「いえ、入れません」

ソーサーを持ってカップを取る。

「いただきます」

軽く一口。ぬるめ甘口。

「苦くないですか?」

「ええ、苦くないです」

さらにカップを傾けた。

「美味しいお茶ですね」

「嬉しいわ、お気に入りのお茶なの」

あああ、苦手なんだよ、王妃様みたいなタイプ。

貧乏底辺職超絶ド庶民が付き合う人種じゃない。

王妃様のお喋りに、ニコニコと相づち。頑張れ自分、社会人スキル全開発動。

当たり障りなく返事しすぎたのが拙かったのか、王妃様のお喋りが止まらない。

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