第3話異次元災考察2
異次元災の考察に移る。
異次元の名称はファーリアというらしい。
これもなかなか、人が決めたものかもしれない。
そのファーリアから跳んできた物質をリットミールといい、調査の結果この世界にはないものだということが判明した。
ファーリアの存在は秘匿していたが、どこから漏れたのか噂は瞬く間に広がった。
我々UNSHALL《アンセム》はファーリアの専門機関として位置づけられ、その研究を一任されることになった。
殆どのデータベースを奪われていた我々は一からやり直す形で研究を再開。
結局アヤが大人になるまでかかってしまった。
私達が出した研究成果はファーリアの存在とそれが滅亡の危機にあるという事実。
そしてこちらからは手を出せないということだった。
恐らく先頃の災害は、、
「もう終わったというサインかもしれないな」
いや、しかしまだこちらにはアンシャルがいる。
それを使って何かできることがないか、調べてみよう。
結論から言うと惨敗だった。
今や全人口の半数がアンシャルという中にあっても、異次元への壁は越えられなかった。
アンシャルが増えたということはどうやら向こうの研究はうまくいっているらしい。
そのデータを共有してくれれば話はもっと変わっていたかもしれないというのに。
若く美しい体を永遠に維持するほどのその力をたかが美容目的で終わらせるワケにはいかないというのに。
現在滅びた街並みはかくも幻想的な風景に差し変わっていた。
これはアンシャルリコードが「魔法」を使って故郷のファーリアを再現したものだと私は見ていた。
子供から大人まで「魔法」を使う中、私だけはアンシャルにはならないでおこうと心に決めていた。
だが、無慈悲にも私の心臓にはアヤの
ぜったいにうしなってなるものか。
私は深く心に刻んだ。
私はアンシャルの力を新たな世界のために使うと決めて、まずは近くにできてしまった鉱山に赴いた。
元はショッピングセンターのあった場所にそれを超える規模の鉱山、ここだけに止まらず、世界のあちらこちらにこうした鉱山が点在していた。
彼らアンシャルが共通認識しているその場所の名前はイスベルク、イスベルクとはファーリアの国の名前だった。
鉱山が豊富でそれがイメージと結びついているのだと思われる。
さらにそこにはキャッスルヴァニラと呼ばれるものがあり、まるで上京でもするようにこぞって皆そこへ足を向けていた。
ブンッ
私の頭を何かが掠めた。
見上げた先には西洋龍がいた。
日に日にこの元世は形を失っていた。
一部ではファーリアと繋がったなどという情報も上がっていた。
「たとえ世界が世界でなくなっても私は」
さっきの龍が落としていった鱗を手に私は決意を固める。
それをバッグにしまい、鉱山に踏み入れた私は中の構造に魅せられた。
壁のあちこちが勝手に発光して、蛍火がそこら中を飛び交っていた。
キラキラと輝くこれは、、砂?
岩石が光る?
蛍火だと思っていたこれは蛍ではない、、らしい。
構造そのものは一般的な鍾乳洞と変わらない。
しかしこれは、、何なんだ。
目の前には「剣」が浮かんでいた。
お前は誰だ。
何だ。アンシャルか?
頭に声が、、
お前は誰だ。
「私はアリエス・ルゥ。ファーリアの研究をしている者だ」
ファーリア?
やはりな。後付けの名前か。
恐らく現地人には伝わらないことはわかっていた。
ここで何をしている?
「私はその研究の一貫でここへきた」
立ち去れ。お前の求めるものはここにはない。
「そうか。では貴殿の名前だけでも」
グリスグロッサム。
「ありがとう」
彼は明らかに生きていた。
剣でありながらたしかにそれを肌身に感じた。
まだここにくる時ではないようだった。
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