第4話 卒業式
タケシは三年生の夏まで所属していた美術部に顔を出す為、美術室に向かい美術室の扉を恐るおそる開けたのだ。すると、ひとりの女性がダビデ像をモチーフとした石像に向かい、真剣な眼差しでキャンパスに筆を走らせていた。
彼女の名前はコユキ、僕よりひとつ下の高校二年生だ。彼女は現在の美術部の部長でもあり、他の部員よりも先に部室である美術室に来ていたのだった。
そんな彼女に僕は声を掛けるのが悪いと思い、暫く彼女のデッサンを眺めていた。すると彼女は僕の存在に気付き、こう言って来たのだ。
「タケシ先輩、お久しぶりです。今日は学校だったんですね」
コユキがそう言うと、僕は彼女に向かってこう言ったのだ。
「進路指導の件でさぁ。それにしても相変わらず、芸術のセンスあるよなぁ! コユキはさぁ」
するとコユキは僕に対して、こう聞いてきた。
「先輩って第一志望の大学、どこなんですか?」
僕は迷う事なく、彼女にこう言ったのだ。
「千葉大学だけど… コユキには関係ないしょ!」
この言葉を聴いたコユキは、僕に向かってこう告げた。
「そしたら、わたし東京の芸大を目指そっかなぁ!」
こんなやり取りを僕はコユキと交わし、彼女の言った「東京の芸大を目指す」と言う意味が、どう言った意味なのかとても気になったのであった。
つづく…
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