第62話
「・・・・・・・・・・」
(デスナイトに比べて、こいつはあっさりしてたな)
かけらも残さずに消えていった骸骨を見送り、礼二はため息をついた。彼の後ろでは、あっけにとられた天使たちが茫然としている。
「先に進まないのか?」
大鎌を地面におろした礼二は、振り返りながら言い放った。しかし、ミリナは礼二の提案に首を振る。
「いえ、今日はここまでにして野営しましょう。お気づきではないかもしれませんが、もうすぐ夜です」
「そうなのか?」
見上げると、目の前には一面の雲がどんよりとかかっている。
「はい。ここ一帯では雲が四六時中かかっているので、時間がつかみづらいんです」
「なら、野営しようか」
あっさりと承知した礼二は、天使たちに指示を出しているミリナを無視して、手頃な木によじ登り、大鎌を抱えた。
「・・・・・・・テント、ありますよ?」
「俺はいいよ」
礼二は木の上から、じっと周りを眺めている。一応地図で確認した魔王城が見えるかと思っていたが、まったく見えない。
(なんでだろ。地下にでもあるのか?)
しばらくそうしていると、天使たちが焚火を始めた。持ってきていた食料をその火で調理している。
ワイワイと修学旅行のようにはしゃいでる彼らを、礼二はつまらなそうに一瞥した。
「・・・・・・・はあ、」
少し前までなら、くだらないとはわかりつつも、はしゃいだりするのを楽しんでいた礼二だが、どうしてもメッシーナの顔が頭に浮かんできてしまう。
それが苦だと思わないが、プレッシャーではあった。早く終わらせて帰らなくてはと、どうしても気持ちだけが前のめりになってしまう。自分でもわかるぐらいに。
「・・・・・・はあ」
木の上で、再びため息を吐いた礼二は懐から取り出したビーフジャーキーのような保存食にかぶりついた。
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「・・・・・なに?」
「ま、魔王様にも、申し上げます! 不死王様が戦死なさいました」
真っ白な神殿造形の部屋で、数人の魔族が整列している。その中央に、おびえる自分を叱咤している兵士と、その前方にはある魔人が玉座に頬杖をついていた。
頭が羊で、真っ白なコートを着ている。袖から反りだしている腕は剛毛で覆われており、どちらかというとマスコットのような見た目だが、こめかみに遠目でもわかるほどに血管が浮き出ている。
「・・・・・すまんが、不死王とはどれのことだ? 適当に言ってあるからよくわからん」
※次回更新 6月24日 水曜日 0:00
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