第3話 ユニーク種族ですって、奥さん!

ずらっと並んだ種族に目を通していると、気になる文字を見つけた。


「あの、ガイドさん。

このランダム、ってなんですか?」


「はい。それは優柔不断な方向けの制度になります。

3回まで挑戦でき、稀にレア種族が当たりますが、3回目で確定となります。

種族を変える場合、課金していただくことになりますので、慎重に選ぶことをお勧めします」


なるほどね。

種族数が多すぎてよくわからないし、ランダム機能使ってみよう。

あわよくばレア種族が出てほしいな、と思いながらランダムの文字をタップすると、目の前にガチャガチャが出てきた。

回せばいいのかな。


1回目、出てきたのは「エルフ」

説明欄には耳が少し尖がっていて、弓の扱いに長けた種族と書いてある。

私が選ぶ武器は、弓じゃないからこれはいいや。


2回目は「狐人」

狐の耳と尻尾がついた獣人だ。

ひげまであるんだ。うーん、もふもふは気になるけど、どうしてもレア種族への憧れが。


3回目を回そうとしたとき、“この種族で確定しますがよろしいですか?”と確認文字が現れた。

女は度胸!ええい、ままよ!

そして出てきたのは金色のカプセル。

お、これは期待できるんじゃない?

カプセルを開けて中の紙を取り出す。


「鬼っ娘?」


私が首を傾げると、頭上にくす玉が現れた。

パーン、と軽やかな音と共に割れた玉から“祝ユニーク種族!!”と書かれた垂れ幕が降りてきた。


「おめでとうございます!!

唯一無二の種族、ユニーク種族があたりました!」


ガイドさんが、満面の笑みで拍手してくれる。

レア種族よりもあたる確率がずっと低いユニーク種族を引き当てたみたい。

やったね!


「最後に武器を選んでもらいます。

武器は向こうでいつでも買い替えることができます」


目の前にずらっと武器が並ぶ。

あれれ、私が欲しい武器がない。


「選べるのはこの中からですか?」


「はい。ここに並んでいるものはすべて初心者用のものになっております。

ゲームを進めるにつれさらに選べる武器は増えますが、どうかしましたか?」


「…木の棒は選べないのかな、って。

あれが一番扱いやすくて」


そう、私が武器として使いたかったのは木の棒。模擬戦闘の時、あれが一番手にしっくり馴染んだのだ。


「き、木の棒ですか!?

GMの方に確認をとりますので少々お待ちください!」


手間かけさせて、申し訳ない。

ダメだと言われたらどれ使おうかな、と目の前の武器を手に取ったりしながら待っていると、お待たせしました、と後ろから声がかかった。


「確認をとったところ、木の棒を武器にするのは構わないそうです。

しかし、チュートリアルの時のように他の武器に変化するのではなく、ただの木の棒になりますが、よろしいですか?」


「はい、大丈夫です。

わざわざありがとうございました」


「いえいえ、これが仕事ですので。

向こうの世界に旅立つ準備はできましたか?」


「はい!

よろしくおねがいします!」


「それでは、お送りいたします。

ソラ様の旅路に幸運あれ!!」


笑顔で手を振ってくれるガイドさんに、こちらも笑顔で振りかえす。

短い間だったけど、楽しかった。

またガイドさんにあえるといいな。


眩しい光と一瞬の浮遊感の後、目を開ければ街中に立っていた。



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