転生医者【休載中】

武野 諒

第1話【誰かの記憶】


 この作品は当分更新が出来ていません。

(プロットを立てずに思いつきで書いてみたもので……色々と詰まっています。)

 ですので読むのは非推奨です。

 幾らでも待てる……と言う方はここから先を読んでください。

――――――――――――――――――――


 ここは何処だ?

 今"この体"は白い廊下を急いて走りながら何処かへ向かっている。

 "この体"と共に"この体"の横を並走している女性……後ろからも男性二人にもう一人女性。

 "この体"の纏う物と同じ、見慣れない白い外衣を男性も女性も纏っている。

 外の日の光が程よく差し込むように設計されたエントランス。

 大きな出入り口から5メートル程離れたところに長椅子が均等な列にされ、多く設置されている。

 その長椅子に座っている老夫婦や小さな子供……どの人も何処か心配そうな表情、そしてやっぱり見慣れない服装だ。

 "この体"は建物の外に出て、またしても見慣れない真っ白な下地に赤いラインの書かれた、馬の居ない馬車のような物がある。  

 ソレから運び出される縦長のテーブルに小さな車輪を付けて動かすことを出来るようにした物に、乗せられた重度の怪我を負った人に"この体"と一緒に来た二人は駆け寄る。


「――代男性、トラックに轢かれて危険な状態です。触診で血圧――、心拍――意識レベルE1、V1、M――です。


 酷いな……この怪我は何処かの上級ダンジョンにでも潜ったのか?


「―――先生!」

「あぁ、予想以上に容態が悪い……内蔵が破裂しているかも知れない。分かっていると思うが急ぐぞ!」

「はい!」


 慌ただしく重度の怪我を負った人を乗せた物を怪我人ごと何処かへ一緒に付いて来た人たちが運んでいく。

 

 そして"この体"も何処かへ向かい、しっかり手を洗浄し、マスク、手袋を付け、また見慣れない……見た事の無い物を身に纏う。

 厳重な扉の部屋に天井に向けて手の平を向け、肘を曲げたような不思議なポーズで中に入る。


 その部屋には、不思議な形をしたライトに、今"この体"の纏っている物と同じ物を来た人達がライトの下の台に乗せられたさっきの怪我人を囲んでいた。


「これから緊急オペを始める。10番メス。」

「はい。」

 

 小さいナイフの様なものが手渡され、"この体"はそれを使い、この怪我人に匠に刃物を入れていく。


 ソレが始まってから数時間、怪我人に『オペ』と呼ばれるらしいモノを施していき、最後に刃物で意図的に切った場所を糸で神の技のように結合し、オペというものが終わる。


 "この体"は処置をしていた部屋から出て、念入りに手を洗う。


「――先生、お疲れ様。」


 手を洗っていると、今回のオペという物で『助手』を任されていた男性が"この体"に話しかけてくる。


「あぁ、お疲れ様。今回の患者はかなりの速度のトラックに衝突されたみたいだな。」

「そうみたいだな、まぁ、今回の患者さんはかなり運が良かったと思うよ。」

「だよな。どんな奇跡で、何かクッションになって、内臓の破裂があの程度で済んだのか本当に不思議だ。」

「普通あんなに出血が酷かったら何処か内蔵が完全にイっててもおかしくないのに、本当に良かった。そう言えばお前はこの後は確か―――」

「……あぁ――……で……―――――」


 段々と声が薄れていく。

 その代わりに聞き覚えのある声が段々と鮮明に聞こえてくる。


……………………………………………………


「………ス! ベイ…ス! ベイリス! お願い! 起きて!」


 僕は呼びかけに応じ、重い目蓋をゆっくりと持ち上げる。


 知らない天井……ここは何処だ?


「ベイリスッ!」

「………いっっつ……メアリ……? ここは?」


 目を開けるとここは別途の上だ。

 幼馴染の女の子、メアリは、僕が目を開けて別途から起き上がると一気に安堵した表情になっていった。


「ベイリス! ここは上級回復術士の治療院よ。」

「なんて僕が治療院に…………?」

「もしかして……覚えて無いの?」


 メアリの話によると僕はパーティで挑んだダンジョンでメアリを魔物の攻撃から庇って三日間……

 どうやら死の淵を彷徨っていたらしい。


 あ〜何となく思い出してきた。

 あの時の僕は無我夢中だったからな。


 僕が眠っている間、幼馴染のメアリはこんな事になってしまった事に責任感を感じて、三日間ずっと一緒に居てくれたらしい。


「ベイリス、(回復術士の)ロクス兄さん呼んでくるからちょっと待ってて!!」

「そんなに急がなくても大丈夫だよー…………って凄い勢いで行っちゃったな……まぁ良いか。」


 ほんとに僕は死の淵を三日間彷徨っていたのか?

 何か眠っている間に不思議な物を見たような……

 いや、やっぱり何かハッキリ覚えているな……

 これは一体……?


 夢で見た物、見た世界をもっとよく思い出そうとしていると、また凄い勢いの足音が聞こえてくる。


「ベイリス君の目が覚めたって本当かぃ!」


 部屋の扉の前に勢いに乗って横滑りしながらロクス兄さんが現れる。


「あ、どーもお久しぶりです。」

「本当に意識が戻ったんだ! よかった〜〜メアリちゃんに結構な勢いで呼び止められて、思いっきり走って来ちゃった。」


 身長がまぁまぁ高めの、少しお転婆って感じのこのお兄さんは、元々同じ村に住んでいた五歳年上の幼馴染。


「ハァハァ…………やっぱりロクス兄さんは相変わらず足が早いわね……」


 後から息を切らし、肩で呼吸をするメアリが到着する。


「ベイリス君、目が覚めたばかりで悪いんだけどちょっと軽く診断させてね。」

「あ、分かりました。」


 この世界では回復術士は滅多に生まれない貴重な存在だ。

 ロクス兄さんは元々農家の家系で最近……と言っても二〜三年位前。

 ギルドの資質検査を受けるまで、自分に回復術士の力があるなんて知らずに育って来て、急ピッチで王都の学院で回復術士の勉強をさせられていたらしい。


 本来は回復魔法が初級の物でも使えるようになる迄十年以上……それもかなり小さい頃から訓練を受けてないと使えない筈何だか……

 ロクス兄さんは中級の回復魔法を使えるようになるまで一時間も立たなかったという、所謂〔天才〕と呼ばれて居る存在で今色んな人に注目されている。

 学院の教授とか生徒達はロクス兄さんが初級を超えていきなり中級を使えるのを見てかなり……

 生徒全員、半パニック状態で驚いていたって、噂だから何処まで本当か分かんないんだがそう聞いたな。


 本当がどうか知らないけど上級の更に上の存在の魔法も使えるって噂があるけど流石にそれは嘘だな。


 まだ上級の更に上の魔法なんて誰一人使えない……見つかって無いし、そんな凄い人がこんな所にいるはずが無い。

 治療院の回復術士は、みんな上級まで使えるらしいし。


「うん! 何とも無さそうだ、大丈夫だね! ほんとあと少し運ばれて来るのが遅かったら不味かったよ。」

「ははは、そんなに酷かったの? ロクス兄さん。」

「ベイリス! 笑い事じゃないわ! 本気で心配したんだから!」


 凄い剣幕でメアリはそう言ってくる。

 まぁ、確かに三日間も眠っていたら心配するなと言う方が無理なのかも知れない。


「まぁ、生きているんだからいいじゃん。うちのパーティにもロクス兄さんが一人欲しいよ。」

「う〜ん……そうしてみたいのはヤマヤマなんだけど、回復魔法が使える回復術士って"ポーション"の生成方法が失伝してからかなり貴重な存在になっちゃったらしいからねぇ〜……」


 そう。この世界では大昔にあったとされる、飲んでも掛けても傷を治療する事が出来たとされる"ポーション"と呼ばれる魔法薬が失伝してしまっている……


 理由は定かでは無いんだけど色々と仮設が今日に至るまで偉い学者によって立てられている。

 

 例えば戦争に備えた国が何も考えずにポーションの材料をかき集めて生成しまくって、材料が全てこの世からなくなってしまったとか。

 凄い回復術士が生まれるようになって生成が大変なポーションに頼らなくなり、怠け始めた人間への神からの罰だとか他にも何個か有るんだが……

 全て本当かどうなのか定かでは無いんだよな……


「あっ! そう言えばロクス兄さん! 今日って何の日でしたっけ?」

「えーっと……金剛石の月の十日だけど?」


 えーっと……確か前回クエストの報酬を受け取るの後で一括にしようとしていて……

 アレ? 報酬の受け取り期間って今日の朝までじゃなかったっけ……?


「まっずい! 早くクエストの報酬を受け取らないと!」

「あ、ベイリス君。念の為あんまり激しい運動はしちゃ駄目だよ〜」


 やんわりとした表情でロクス兄さんはそう僕に忠告をする。


「わかりました! そう言えばメアリ、報酬はもう受け取って来たか?」

「あっ! しまった! ベイリスの事心配しすぎて忘れてた! そろそろ受け取り期間が過ぎちゃう!」


 どうやらメアリも受け取りを忘れていたみたいだ。

 僕が報酬の話をすると突然思い出したかのように焦りだす。


「じゃ、一緒に行かないか?」

「うん。ベイリスが激しい運動をしないかの監視も兼ねて一緒に行くわ!」

「あ、ロクス兄さん! ありがとうございました!」

「は〜い、今度はくれぐれも気をつけてね〜」

「ロクス兄さん! ベイリスの事を助けてくれて本等にありがとう!」


 こうしてベイリスとメアリはクエスト報酬を受け取りにギルドまで向かって行くのであった。


「……にしてもあの夢は何だったんだろう?」



――あとがき――――――――――――――

 不定期に更新をする事になると思いますがこれからも読んでくださると嬉しいです。

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