第2話 この爆裂に疑問を!

「はぁーはぁーはぁー」

「ごめんなさいぃぃぃ。謝るから謝るからーーーー」

「うっせぇ!お前何してくれてんだよ!この駄女神が!!!」

「だ、だって、初心者殺しならみんなびっくりするかなーって」

「お前の辞書には『やりすぎ』って単語がないのか!!?」


 初心者殺し。一言でいうとサーベルタイガーみたいなモンスター。

 初心者の冒険者を狩るという事で、初心者殺しという名前がついた凶悪なモンスター。

 それをこいつは宴会芸のためだけに呼び出したのだ。



「だが、危なかったな。もう少しでみんな殺られるところだった」

 ダクネスが息を切らしながら言った。今回は本当にダクネスに助けられた。

 初心者殺しが現れた時に、初心者殺しに突進。

 そのまま、相撲みたいに初心者殺しを外まで押して行った。

 その後は、ゆんゆんの爆裂魔法でなんとかなったのだが----。



「それにしても、まさかゆんゆんが爆裂魔法を覚えるとは……」

「うん。ウィズさんに教えてもらったの。スキルポイントも余ってたし」

「なるほど……」

「それにしてもゆんゆんの爆裂魔法は凄かったな。めぐみん、負けてるんじゃないか?」

「なっ!?言ってはいけないことを言いましたね!」


 めぐみんがバサッとかっこよくマントを翻す。

「カズマ!私が今日はもう爆裂魔法をうてないと油断しているようですが

 命を全部削れば、もう一発爆裂魔法をうつ事もできるんですよ!?」

「謝るからそれはやめてくれ」

「そうだよ!めぐみん。そういうのは駄目だよ!」

「ふふふ。命拾いしましたね!カズマ!いいでしょう。今日は見逃してあげます。しかし明日は覚悟しておいてください!」


 めぐみんはそれだけ言うと、満足したように家の中に戻って行った。

 あっ、あいつ!先にカニを食べるつもりだな!って、よく見たらアクアもいなくなってる!?

 ダクネスもいない……って、あいつは着替えにでも行ったんだろうな。汚れてたし。



「あー、もう楽しいなぁー」

 ゆんゆんと俺だけが残った。ちょっと疑問に思っていたんだが。

「というかさ、爆裂魔法じゃなくて、違う魔法でもよかったんじゃないか?」

「え?」


「いや、ほら『ライト・オブ・セイバー』とか使ってくれたら、屋敷の中で討伐できたんじゃないかって思ってな」

「その……あまり慌てたせいで使うのを忘れてて……あははは」

「ふーん」

 上級魔法を使って、色んな修羅場を潜り抜けて来たゆんゆんが……なんでよりにもよって爆裂魔法で討伐を?


「それより、早くカニを食べましょう」

「あ、あぁ。そうだな」

 うーん。やっぱり年月が経つと人間ってこんなに変わるのか?

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