まっさらな世界

椎名由騎

光を見つけても

 色がまったくない世界。

 その中でたった一人で佇む私がいるだけの世界を前なのか後ろなのかわからない場所を歩いていく。ただただ白い空間がそこにあるだけで何も見えてこない。


 この歩みを止めてもいいのではと頭を過ってもそれでも私は歩みを止めなかった。それが何故なのか、そしてこの歩んでいるのが私なのか、それさえもわからずにただただ進む。


 どれくらい歩いたのか、時間さえもわからない中、だんだんと私の前方から光が見えてくる。それはだんだんと近くなり、そこから微かに雑音が聞こえる。


 光に近付けば近付くほど、その雑音が"声"だと言うことに気付く。しかし、それが誰の声なのかがわからない。









 そして私という存在事態が、誰なのか、名前さえもわからない。

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まっさらな世界 椎名由騎 @shiinayosiki

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