拝啓 ドン底の僕と最高の君へ

サケノキリミ

第1話 ドン底の学生生活 日誌1日目

夏のうだるような暑さが僕と彼女の肌を容赦なく焼いていく


僕は、ある女子から 放課後、屋上で待っています。との手紙が下駄箱においてあった為、屋上にやって来ていた


「桜川くん。私、君のことが好きです! 以前、助けて貰ったあの時から。貴方のことが頭から離れないんです!

貴方は善意で助けてくれた事も、他の人にも同じくらい優しくしてるのものも知っています。私もその中の1人でしかなかった......。でもっ! 私は桜川君の1番になりたい! どうか、私と付き合ってください!」


遠くの空から淡い星の光が届く屋上で......


僕は生まれて初めて本当の愛を知った。


〜日誌1日目〜


今日から日誌を毎日付けたいと思う

理由は正直、僕にも分からない

僕のド底辺な日常は文字に書き起こした所でちっとも変わらないし、むしろ悪化する一方なのに......

でも、少し、本当に少しだけ期待している自分もちょっとはいるのかもしれない

僕にいつかヒーローが来てくれるのかもってさ


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それは桜の花びらが青空の下、優しい風に乗って舞い散る少し寂しい季節


それと同時に、僕が今日から通うことになる私立聖堂高校への入学。俺にとっての呪いの季節でもある。


聖堂高校。略して聖高は私立高校の中でも有数の進学校であると声高らかに校長先生と思わしき先生が演説しているのが遠くから聞こえる


なぜ校長先生と確証が持てていないのかと言うと実に簡単なことで入学式に出席していないからだ。

僕は過去のとある事件で厄介な病気を発症してしまい、こういった行事ごとには参加はしていない。


遠くから割れんばかりの拍手が聞こえる。

恐らく長い演説が終わったのであろう

そして、そろそろ式も終わる頃だ


僕はなるべく人目につかない様に正門近くのベンチから校舎裏に移動する。

校舎裏は清掃や手入れが行き届いているのか存外にジメジメしたような雰囲気は感じられない


俺はカバンを校舎の壁に立て掛け、フェンス越し、近くを流れる川の桜をボーッと眺める


ひらりひらりと頼りなく揺れる桜達を見ていると綺麗という感想よりも俺と同じで不憫だなというマイナスな考えしか浮かばない事に僕は顔をしかめた。


それと同時に、これからの学生生活を思案し胃が痛くなる

この場所を暗くジメジメさせているのは僕の方か......はぁ......


深く溜息をつけばつくほど気持ちは曇っていく。

柄にもなく雲ひとつない青空と心は同じブルーだなぁ等と現実逃避をし始めるが喧騒が僕を不安に満ちた現実へと無理矢理に引き戻す


そして、正門付近の生徒と思わしきガヤガヤした声がまた増長させる


まるで誰かが仕組んだ様に負の悪循環にズルズルと沈んでいく僕は最悪の気分だった。

しかし今更不安を感じたところで現状は変わるわけもなく、ただの時間の無駄という事を僕は中学で身をもって、痛いほど知っている。


中学では例の病気のせいで友達はもちろん居なかったし、周りに人がいたのなんてそれこそ病気が発症する前にしか居なかった。

発症してからは友達だなんだと言っていた奴らから距離を置き始め、段々と溝が深まり、数ヶ月後には立派なボッチの出来上がりだ。


などと、そんな思考をめぐらせている内に新入生たちは校舎へと入っていったらしく喧騒は無くなっていた


僕はずっとこのエデンに居れるわけもなくズルズルと重たい足を引っ張りながら校舎へと向かった

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